どんなギターを作るかが決まったら、次は製図をします。頭の中にあるギターのイメージをいよいよ形にしていく作業です。とても楽しい作業です。これからのギター製作の基本となる部分です。何度も描き直して納得できる図面にしてゆきましょう。ボディのサイズが決まらない方は、作り易さという点からも、小ぶりなマーチンO-18サイズをおすすめします。

スケールは628mm、ジョイントは14フレットジョイントとします。作りたいサイズのギターが手元にあれば、本体のぐるりをなぞって紙に写します。用紙はA2サイズのトレーシングペーパーを文房具屋などで手に入れます。

1.
ボディの中心線をペーパーに引きます。この中心線は非常に大切な線です。ネックのヘッドからボディのボトムまで1mmの狂いもなく、まっすぐに仕上げることが良いギターの条件にもなります。製図の段階でも中心線がボディの中心を通っていることが大切です。

ここではまず直線を引くだけですが、今後この線がベースになることを頭に入れておいて下さい。人間で言えば、この中心線は背骨のようなもので、まっすぐになっていないと全体に悪影響が出てきます。

2.
中心線を意識しながら、ギターの輪郭を左右どちらかの片側だけ描きます。片側だけ描いたら、次に中心線に沿ってペーパーを2つ折りにして、もう片側をなぞって描きます。左右対称になることが重要ですので、最後にもう一度中心線を折り曲げてギターの輪郭がぴったりとくっついているかを確認します。

3.
ネックブロック(35mmX80mm) と、ホゾ(20mmX20mm)をボディトップ側に描きます。エンドブロック(20mmX80mm)をボディエンド側に描きます。

4.
フィンガーボードを12フレットの位置からボディに接する14フレット、さらに20フレットまで描きます。この時、フィンガーボードの中心線は常にボディの中心を通っているようにします。

5.
サウンドホールを描きます。大きさは直径で90mm~95mmくらいが適当です。円の位置決めは、20フレットが当たるあたりを目安にします。マーチン 0-18 を例にとると、本体のネック接合側から85mmのところに円周が接しています。円の中心が中心線を通っていることは言うまでもありませんね。

6.
本体のネック側から、0~12フレットの長さ分をはかり、しるしをつけます。この位置がブリッジのナットの位置になります。フレット0とはナットとフィンガーボードの接合部分です。ここから12フレットのラウンドの一番高いところまでを測ります。スケールが628mm用のフィンガーボードであれば、その半分の314mmが12フレットからナット位置までの長さになリます。

7.
以上まで描いたペーパーをコピーして、表板のブレース材の配置用、裏板のブレース材の配置用、さらにボディの型枠作成用の計3枚用意します。そして表板のブレースの配置と、裏板のブレースの配置をそれぞれ書き加えます。表板用のブレースはXブレーシングパターンを、裏板用のブレースは横に4本パターンを描きます。このブレースの配置もマーチンを基本としています。

一般的に表板のブレースの方が裏板のブレースより多いのは、弦の張力が裏板より表板に多くかかるという理由からです。ライト弦でレギュラーチューニング時には約60kgもの張力がかかります。ですので、ブリッジや表板はその張力に耐えられるよう、しっかりと接着したり、ブレースは細すぎず、スキャロップも深すぎないように注意する必要があります。表板の強度が不足すると、ブリッジのはがれや、表板の膨れにつながります。

私の失敗談ですが、始めのうちは強度面を意識せず、音質面だけを考えてスキャロップトをかなり深く削り過ぎました。その結果、表板の強度が落ちて表板が変形し、ブリッジのはがれを起こしてしまったことがありました。皆さんはこのようなことのないように、スキャロップトの深さは程ほどにしておきましょう。