■ 作業時間
2時間

■ 使用用具
ヤスリ、三角ヤスリ、スチールウール、ストレートエッジ

■ ポイント
ストレートエッジを使ってフレットの高さを一定にしたあとやすりがけをしてフレットワイアーを滑らかにします。フレットの両端も演奏時にひっかからないようにやすりで削ります。

フレットの調整は演奏性に直接関わってきますので、妥協しないで完全に行いましょう。フレットの高さが均一でないと音がビビッたり、音程が狂ったりしますので、正しい音を出すための必須の工程となります。調整は高さの統一とフレットの端の処理に分かれます。まずは全体の荒調整で、フレット全体を荒めのヤスリで軽くなでるように均等に削ります。

フレットワイアーの材質は見た目よりずっと軟らかく、力を入れるとすぐに削り過ぎてしまいますので、注意が必要です。とにかく、軽く、柔らかく触るように作業を進めます。次に高さのチェックに突入します。この高さは目で見ただけでは残念ながら殆ど判りません。肉眼では把握不能ですので、長い定規又はストレートエッジを使って0.1mmの世界のチェックを行います。

フレットワイアーに直角にゲージを当てて、ゲージがカタカタと音をたてないか確認します。音がすれば高さが均等になっていないということになります。フレット全体から見て、特定のフレットだけが高いのか、又は低いのかによって調整方法が若干異なります。特定のフレットだけが高い時は、高いフレットだけを削って高さを合わせます。特定のフレットだけ低いのであれば、全体を低く削る必要があります。これらの手順を基本に高さを均一にしてゆきます。

何度も定規を当ててカタカタの音を無くしてゆきましょう。私はこの工程を「カタカタ」と呼んでいます。多分このように呼ぶのは私ひとりでしょうが・・・実はこのフレットの調整はネック自体がねじれや波打ちがないかが、大きく影響します。フレットの土台自体が狂っていたら当然フレットの高さも狂います。ですので、ネックを取付ける時点でまっすぐな、ゆがみのないネックにすることが大切となります。

次はフレットの端の調整に入ります。フレットの端は手で触れてみてひっ掛かりがなくなるまで調整します。ここでもヤスリを使いますが、軽くなでるように動かします。米国のある有名な解説書に「kiss」をするように・・・・という表現が使われています。それくらい力を入れないようにということです。フレットの端は1辺の長さが5mm~10mmくらいの三角ヤスリを用います。フレットの端の左右と上部を僅かに削ってゆきます。誤ってフィンガーボードを削ってしまわないように注意します。調整が終了したら、フレット全体をペン型のサンダ―とスチールウールでピカピカになるまで磨きます。