Question NO.12
スプレー吹き付けの際、塗料の粘度を管理する要点を教えてください

Answer
希釈の程度については塗料の種類や使用条件等によって変わります。塗料の仕様書には塗料とシンナーの重量比でシンナーの添加量が示されています。塗料を吹き付けできる粘度に希釈する必要からの表示で、現場では粘度カップで粘度を管理しています。カップ法では一定量の塗料が細い管を通って流れ落ちるのに要する時間を計り、粘度の目安としています。

粘度の高い液体が流れに対して大きな抵抗を示して流下時間が長くなります。例えば、水と油とでは油のほうが流下時間が長くなります。カップ法で粘度を管理する場合は次の点に注意します。

1.
同一塗料でも粘度カップの種類によって流下時間が異なります。流下時間と粘度の関係は、2種のカップともほぼ同じ傾きを有する直線で示され、フォードカップのほうが流下時間が長くなります。一般にスプレー吹き付け時の塗料粘度は30~50mPa・sとされているので、フォードカップでは温度14℃下で17~22秒程度に調整することになりますが、イワタカップでは12~16秒程度となります。

2.
塗料の流動性を理解します。液体にはかき混ぜる速度により粘度が変化する液体(非ニュートン流体)と、かき混ぜる速度に影響を受けない液体(ニュートン流体)があります。前者の塗料にはエナメルが含まれ、後者には希釈したクリヤ―ラッカーが含まれる。このように流動性が異なる塗料では、流下時間を一致させても塗装時の粘度は異なります。

3.
塗料の密度によって流下時間が異なります。流下時間は粘度を密度に比例します。密度が大きい塗料ほど流下時間は短くなります。

4.
温度により塗料の粘度は変化します。温度が上がると液体の分子運動が活発になって粘度が低下します。ラッカーは多量にシンナーを添加しないと塗布できないので、1回の塗布では厚い塗膜が得られません。けれど、塗料を温めて粘度を低下させれば少量のシンナー添加ですみ、固形分を多くして塗布することが出来ます。

これを利用したものが「ホットエアレススプレー」で塗料を加温してスプレーします。塗料の粘度は温度の影響を大きく受けるので、温度管理が大切です。