【現象】
下塗の樹脂分や顔料分の一部が、塗り重ね塗膜にとけ込み変色した状態。下塗塗膜成分の一部が塗り重ね塗膜に移行し、変色します。

【原因】
①タールの溶解による場合
下塗塗膜がタールエポキシ(タールウレタン)樹脂塗料に淡彩色を塗り重ねた場合、塗り重ねた塗料の溶剤によりタール分が溶解し、塗り重ね塗膜にタール分がとけ込み上塗り の淡彩色が黄褐色となります。

②顔料組成の溶解による場合
下塗塗膜が鮮明な赤、黄、グリーンの場合で塗り重ね塗膜の溶剤組成が強い場合、顔料の一部が溶解し、赤味や黄味が出てきます。

③溶剤揮発乾燥型塗料を塗り重ねた場合(再溶解現象)
塩化ゴム樹脂系塗料や塩化ビニル樹脂塗料など 溶剤揮発型塗料の場合は下地塗膜を溶解するため、刷毛塗りの場合、何度も刷毛返しをすると下地塗膜が溶け出てきます。

④耐熱塗料を刷毛塗りで施工した場合(再溶解現象)
耐熱塗料の樹脂(シリコン系)は熱硬化型塗料のため常温では十分硬化しないため、見かけ上硬化していても上塗塗装時に下塗を溶解してブリードを起こします。

⑤その他
その他、下地に油分が付着している場合もブリードを起こします。

【対策】
①タールの溶解によるものは、その上に2液形塗料を何回も塗り重ねてもフリードを完全に止める事はできず、経時で徐々に発生してくることが多いです。このためタール分をブラスト処理で完全に除去しないとタール以外の塗料は塗装できません。従って同じタール系塗料で塗装するか、ブラストによる素地調整を行い他の塗装系で塗装します。

②顔料組成のブリードの場合は2液形塗料で耐溶剤性の強い塗膜にすれば止まります。

③塩化ゴム系など樹脂組成によるものは、中塗塗料でにじみを生じても上塗りで止まる事が多いですが、にじみの程度が大きい場合は中塗り、又は上塗りを増し塗りします。又耐熱塗料も含めて刷毛塗りで塗装する場合は、刷毛返しを少なくして棒塗りを行いにじみを少なくします。場合によってはスプレー塗装に変更します。