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白色腐朽菌~ホワイトパステル仕上げ

(白色腐朽菌)
細胞壁を構成するセルロース、へミセルロース、リグ人をほぼ同じ比率で分解する腐朽菌で、殆どが担子菌に属します。腐朽菌は白っぽくなり、ほぐれやすくなります。

(ハケ塗り)
ハケ塗りは古くから行われてきた塗装方法で、どのようなものでも自由に塗る事が出来、簡単な器具で塗装が可能です。しかし、熟練した技能がないと美しく仕上げる事ができません。ハケは用途によって毛質・形状が異なりますが、漂白や薬品を塗布する場合には植物繊維やナイロンのハケを使用します。「ずんどうばけ」は家の植え込みが多く、油性ペイントなどの粘度を高くして用いる塗料を引き伸ばして塗るのに適しています。隅や内部は「すじかいばけ」を、平らで広い面は「平ばけ」を用います。

ハケを選ぶ場合は次の点に注意します。
① 毛質が揃っていること
② きれ毛、脱毛がないこと
③ 手触りが良く、水を含ませて振っても毛先が割れないこと

ハケでの塗り方には主に次の2つの方法があります。
① 3段階法
油性塗料などの乾燥が遅い塗料を使用する場合は、段階に分けて作業が出来ます。一般に無理なく手の届く範囲でまず、塗料を毛たけの1/3~2/3くらい含ませ、容器の内側で毛先を軽く叩くか陽気の縁でしごいて塗料が垂れないようにし、塗布量を考慮しながら繊維方向に均一にぬる「塗付け」を行います。次に、塗りつけられた塗料を全体に塗り拡げるために、塗り付けの方向とほぼ直角にハケを運ばせる「ならし」を行います。最後に塗料を良くしごいたハケで隅々まで平行にハケ目を整え、途中でハケ継ぎのないように行う「ムラ切り」の3段階の作業を行い塗りつないでゆきます。
② 棒塗り法
乾燥が早いセラックニス、ニトロセルロースラッカーなどは3段階による塗布で行う時間的余裕がなく、塗り重ねてゆく場合、下塗り塗膜を溶解するので、ハケの移動回数を少なくする必要があります。このため、ハケ幅の1/3程度を塗り重ね、繊維方向に塗料を置くようなに塗り付けて仕上げます。

ハケ塗りの注意事項として次の点があります。
① 塗りにくい箇所から塗り始める
② 隣接する他の面に塗料を付着させないで塗り込みます。これを「だみこみ」といいます。
③ 塗料の塗布に使うハケはよく使い込んだ毛先のそろったものを使います。
④ 繊維方向にハケ目を通します。特に部材の取合い部 (接合部) に注意します。

(ハケの取扱い方)
新しいハケをおろすには次の順序で行います。
① 抜け毛を防ぐために毛のに基にセラックニスなどをしみ込ませて固めます。
② 使う前に毛を軽くたたいてゴミを出し、抜ける毛は取り除きます。
③ 塗装中に抜け毛が出たり、ハケ目が目立つのを防ぐために、塗料を含ませ定盤の上でしごき、へらで十分に突き出します。
④ 上塗り用に使うハケは下塗り用で十分に使い込んだものを使います。

使用後のハケは塗料容器の縁でよくしごいて塗料を出し、定盤上でヘラで塗料をしごき出します。ハケの保存法については次に示す塗料ごとに行い、色別に分けて保存します。水性のハケは完全に洗い落とし、日陰干しにして吊り下げ保存します。ラッカー系のハケはラッカーシンナーでもみ出すように洗浄し、密閉出来る容器にラッカーシンナーを含ませた布を敷き、ハケが乾燥しないように保存します。この時、ハケ先が曲がるなどのくせが出ないように、毛先を容器の底から離して吊るしておきます。油性系のハケは、塗料を十分に取り除いた後、ハケが空気に触れて乾燥しないように、あまに油又は水を入れた容器に毛先を吊します。次に使用する際には亜麻仁油又は水を定盤上でへらで突き出します。

(橋かけ形塗料)
二つまたはそれ以上の分子が橋をかけたような形で結合する塗料。代表的な塗料には2液型エポキシ樹脂塗料、2液型ウレタン樹脂塗料、2液型シリコン系樹脂塗料、2液型フッ素樹脂塗料などがあります。2液型塗料は主剤と硬化剤が別容器になっており、使用前に決められた配合割合で均一に混合して使用します。主剤と硬化剤を混合すると反応が始まり、反応前成分とは異なった構造を作り、乾燥・硬化します。この反応を、「橋かけ反応」とも呼ばれています。

(はじき)
塗装表面が均一にならず、ところどころクボミやヘコミになることを言います。ヘコミが大きくなると着きの表面のクレーター状になることもあるハジキは、素地面に対して塗料のぬれが悪い時に発生し易いです。ヘコミは塗料の乾燥過程で表面張力が局部的に異なる時に発生しやすいです。はじく物質が塗料又はシンナー中に混入していたり、被塗物にシリコーン・水・油などのはじきやすいものが付着したり、塗装室が汚れている場合に生じます。特にシリコンによるものは激しく、素地作りはそれらのものが付着しないように注意します。ヘコミの発生は塗料の種類によって異なり、油性塗料・カシュー塗料のように極端に乾燥の遅い塗料やニトロセルロースラッカーのようなラッカー形塗料では発生しにくいです。発生しやすい塗料は、酸硬化アミノアルキド樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹脂塗料です。

(パミストーン)
パミストーンとは軽石・軽石粉のことで、水に濡らした布に付けて曲面の研磨に使うほか、塗膜のつや消しに用います。一種のポリッシングコンパウンドのように使い、塗り面に種油を付けて磨き仕上げる時にも用います。アコギ塗装にはシェラックを塗る時、僅かにシェラックに混ぜて用います。

(半透明仕上げ)
素地の木目や素地色がぼやける仕上げで、有色顔料による素地着色や染料・顔料を透明塗料に混合したもので塗膜着色したものです。

(晩材)
針葉樹材で夏に形成される年輪の外側にある重厚な部分。夏材とも言います。

(比強度)
強度を比重で割った量のこと。物質の強さを表す物理量のひとつで、密度あたりの引っ張り強さのことです。

(被子植物)
被子植物とは、植物の分類の主要なグループ名。種子植物(顕花植物)のうち、一般に花と呼ばれる生殖器官の特殊化が進んで、胚珠が心皮にくるまれて子房の中に収まったものを言います。裸子植物と対をなす分類群で「被子植物門」、「被子植物類」のことです。

(比重)
各物質の質量が、それと同じ体積をもつ標準の物質の質量の何倍であるかを示した数値。厳密には、質量はある一定の力の下での慣性を測ることによって決められますが、普通は同じ場所での重さの比で決められているので、比重と名づけられています。比重が1より大きい物質は水に沈み、1よりも小さい物質は水に浮きます。

木材の比重は物理的・機械的性質を大きく左右し、樹種により同一樹種でも各個体やその部位により異なります。比重は木材の質量をその容積で割った値を言います。水を含まない木材細胞壁実質中の比重を真比重といい、樹種の別なく概ね1.50としています。

(ひずみ)
物体に外力が働くと応力が生じ、応力が生じるとそれに相応して変形が起こります。この変形の大きさを「ひずみ」と言います。木材に荷重を加えると、最書のうちは応力の増大と共にひずみも増加しますが、ある比重の範囲内では荷重を取り去るとひずみも消えて原型に戻ります。こうのような性質を弾性と言います。ところが、さらに荷重が大きくなってある限度を超えると、荷重を取り去っても原型に戻らずひずみが残ります。この性質を塑性と言い、その時のひずみを塑性ひずみ又は永久ひずみと言います。さらに荷重を加えてゆくと木材は破壊します。この時を極限強さ又は単に強さと言います。

木材は荷重を取り去ってもすぐに変形が戻るのではなく、多少の時間が掛かります。このような性質を粘弾性と言います。粘弾性的な現象としては、クランプなどで部材を締めつけておくと、時間の経過と共に緩んでくる応力緩和や、時間の経過と共に棚の棚板が次第に垂れてっくるというように、一定の荷重を掛けておくと変形が増加するクリープ現象があります。

(肥大成長)
維管束形成層の活動により植物の幹や根が太くなることです。

(比熱)
物質1gを1℃上昇させるのに必要な熱量のこと。

(標準含水率)
木材の性質を比較する場合の基準となる含水率で、12%と定められています。

(表面汚染)
高含水率木材の表面に生育したカビにより材色が汚染されることです。

(表面処理)
塗布、吹付け、浸漬など現場で主体に行われる木材の薬剤処理法のこと。

(ピンホール)
ピンホールは塗り上がり後に、針で刺したような穴が出来ることをいい、目止め不十分で下地に穴が残っている場合に生じやすいです。塗料中に泡が混入して消えないか、塗装後に発砲して塗膜中に包含されたものが、研磨により泡が破れて巣穴となることもあります。ハジキと同様に油性塗料などでは殆ど発生しませんが、酸硬化アミノアルキド樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹脂塗料では発生しやすいです。

(風化)
屋外に置かれた木材が、水・紫外線・風などの影響により劣化すること。

(腐朽)
木材の細胞壁が微生物の作用により分解され、組織構造が崩壊して強度低下などの劣化を起こすことです。

(節)
樹幹が太くなるにつれて幹に取り込まれた枝の付け根の部分を言います。枝が生きている間に取り込まれたものは生節となり、枝が枯死してから取り込まれたものは死節となります。節の部分は密度が高くて樹脂分を多く含み、暗褐色をしています。板目板には節が円形や楕円形として現れ、まさ目板には流れ節となります。節は木材の強度に大きく影響を与え機械による加工中の欠損、抜落ち、塗膜の乾燥阻害等を起こします。

(付着不良)
被塗物 (素地と既に塗られた塗膜面) に対して付着が悪く、剥がれる事をいいます。実用に耐えられない付着性も含まれます。塗料が保護と美観を達成するための最も基本的で重要なもので、素地と塗料、塗料と塗料のいずれも十分な付着力が必要です。

(不透明仕上げ)
エナメル塗料、油性・合成樹脂調合ペイント、酢酸ビニルエマルジョン塗料や不透明顔料で素地を隠す仕上げで、色の選定と素地の平滑度が仕上げるを決定します。

(平均収縮率)
木材の含水率1%当たりの変化に対する収縮率のこと

(平衡含水率)
繊維飽和点以下の木材の含水率は,最終的には外部空気の温湿度状態とつりあって安定します。これが平衡含水率です。外部の湿度が下がれば木材は水分をはき出すので湿度は上がり,外部の湿度が上がれば木材は湿気を吸収して湿度は下がります。特に大気と並行している含水率を気乾含水率といいます。日本における平均気乾含水率は約15%です。又、含水率12%を標準含水率とし、木材の性質を比較する場合の基準となる含水率としています。

(壁孔)
細胞の内外の物質移動のため、細胞壁が他の部分よりも薄い部分。一般に隣接した細胞相互で対をなします。仮道管や道管には二次壁が張り出しているので、有線壁孔と呼び、真正木繊維や柔細胞では張り出しが無いので単壁孔と言います。

(へミセルロース)
木材の細胞壁を構成する主成分である鎖状の分枝のある高分子で、多糖類です。

(ヘラ)
ヘラは目止め剤やパテなどを塗り付けるとめに用いる他、塗料を塗り付けたり目止め剤を練ったりするためにも用いられます。ヘラの種類は材質に依り「木ベラ」「樹脂ベラ」「金ベラ」などがあり、塗布面積や部位に依ってヘラの種類・形状・大きさを使い分けます。木ベラは一般にはヒノキが用いられます刃先は常にまっすぐにしておき、きずが付いたら平らなガラス板に研磨紙を貼り、よくすり合わせます。

(辺材)
木部の中で周縁の淡色の部分。水分は通導していて柔細胞も生存しています。白太と同義語。

(ボイル油)
ボイル油は亜麻仁油、桐油、荏油などの乾性油に空気を吹き込んで加熱して作った重合油に、乾燥剤 (酸化触媒) を添加したものです。

(ポリエステル樹脂)
多価アルコールとテレフタル酸を共重合させて得られたエステルで、一般式は(-CO-R-CO-O-R'-0-)で示される化合物です。特徴としては高強度、軽量性、加工性、耐熱性、耐候性、電気絶縁性、耐薬品性、耐加水分解性、鋳型への流動性など広い範囲にわたって優れています。これらの特性を生かして、スチール、アルミニウムに代わる軽量化材料として車両、飛行機、保護帽などに用いられています。ポリエステル樹脂の代表的なものとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂で、前者はペットボトル、フィルムとして、後者は射出成形部品として多く使われています。

(ポリエステル塗装)
ポリエステル樹脂塗料は促進剤と触媒との混合により硬化乾燥させます。下塗りにポリウレタンウッドシーラー、上塗りにラッカー又はポリウレタンを使用します。一度に厚膜の塗装ができますが、塗装仕上がりは最も木質感を損ないます。少ない塗り回数で厚膜仕上げが可能なほかに、塗装後の肉やせがなく塗膜硬度の高いことが長所です。ポリエステル塗装はワックスが入っているタイプと入っていないタイプがあります。入っているタイプでは塗装後にワックスが表面に浮上し、空気との接触を絶たないと硬化できません。クリヤーのみでポリウレタンシーラーを下塗りしてから塗装します。ローズウッド、エボニー、パープルウッドなどのヤニ分を多く含む材は、やに止め効果のあるポリウレタンウッドシーラーを下塗りします。

(ポリッシングコンパウンド)
ポリッシングコンパウンドはラビングコンパウンドとも呼ばれ、ミラースムース仕上げの際に上塗り塗膜を磨いて平滑で光沢のある仕上げに用います。ポリッシングコンパウンドは油脂をミネラルスピリットなどの石油系溶剤で溶かしたものを、さらに水性のエマルションとして珪藻土、パミストーンなどを混練りしたものです。粒子の大きさで極粗目、荒目、中目、細目、極細目の5種類があります。粒子が塗膜を引っかいて研磨し、同時に溶剤で汚れを取り除き、油脂を残留させて光沢を出します。小物の場合はウエスをつけて手で研磨しても良いですが、通常はポリッシャーにフェルトを付けて研磨します。

(ホワイトパステル仕上げ)
白をベースに他の色を加えて半透明に白く濁った状態に仕上げる方法をパステルカラー仕上げと呼ばれています。着色によって木質感は少し落ちますがソフトな感じになります。特に白顔料のみで少し濃く着色したものは清楚で可憐な仕上がりになります。淡色又は白い材に適していますが、黒い部分や濃い縞のある材には適しません。塗料は仕上げの色を保つために汚れにくく丈夫なポリウレタン樹脂塗料が良く、変色しない無黄変タイプを使用します。同じ比率で分解する腐朽菌で、殆どが担子菌に属します。腐朽菌は白っぽくなり、ほぐれやすくなります。