リペア実績 #0160

Martin HD28Vカスタム

ネックリシェイプ ナット交換 ヘッド塗装 サドル交換
山梨県

カスタムで作られた、ヘッドにトーチインレイの入ったギターです。今回のメインはネックのリシェイプです。このギターのベースとなるネックシェイプはビンテージに多い三角ネック仕様ですが、オーナーの好みはかまぼこ型に近いシェイプがお好みですので、そのようにネックを削りお好みのシェイプに近づけます。注意点は削り過ぎるとロッドが露出しかねないので、細心の注意を払って作業します。

まずはナットを外し、めくれ上がってしまっているヘッドのツキ板補修を行います。濡らしたウエスを乗せ、上から電熱こてを当てて蒸気でめくれを元に近い状態にします。

続いて塗装タッチアップの前に、先にナット交換を行っておきます。無漂白の牛骨材で作成します。ナット作成は、弦溝を適切な深さに切り、表面を磨いて艶を出して完了です。ナット周りのタッチアップはネックリシェイプ後に行います。次にトップの2箇所の打痕補修を行います。塗装タッチアップで補修します。

打痕部分にクリアラッカーを盛りました。しばらく置いて乾燥を待ちます。次はネックのリシェイプに入ります。厚みを1mmほど薄くしてほしいとのご依頼です。事前に作業前のネックの形状や厚みを記録しておきます。

スクレーパーやサンドペーパーを使ってネックを削ってきます。グリップの頂点の厚みを出し、その後全体的に形状を整えます。ネック全体の塗装も落としておきます。ヒール付近は特に慎重に行います。

ほぼネックの整形が終わりました。一度お客様にご来店いただき、握りを確認していただくことになります。ネックリシェイプはネック整形が終わり、導管埋めの作業に入ります。との粉をダークブラウンに着色し、ネック全体に刷り込みます。この状態で一晩乾燥させます。

次にラッカーサンジングの吹き付けを行いました。このまましばらく乾燥させます。サンジング吹き付け後に研磨を行いました。サンドペーパーで表面を整えます。再度、塗料の吹き付けを行いました。またしばらくおいて乾燥させます

ネック着色後に研磨を行いました。サンドペーパーで表面を均します。ネックにクリアの吹き付け後しっかり乾燥させたのち、表面の仕上げ作業を行います。番手の細かいサンドペーパーで研磨して艶消しに仕上げます。ナット周りのタッチアップも行います。タッチアップ前の画像です。ヘッド側に塗装欠けがみられます。

欠け部分にラッカーを数日間掛けて盛り、十分に乾燥させたのち表面を整えて完了です。続いてサドル交換を行います。ナットと同じく、無漂白の牛骨材で作成します。弦高は12Fで6弦2.0mm、1弦1.5mmと低めで調整しました。

次にボディ全体にバフ掛けを行って艶々に仕上げます。

さて次は表面のクリーニングをし、弦を張って全ての作業が完了です。

今回、ネックリシェイプによってネック厚が薄くなり、さらにナット&サドル交換により弦高が低くなったことで演奏性が大幅に向上しました!

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