リペア実績 #0207

Kalamazoo KG-14

ネックリセット トップ膨らみ補修 ナット・サドル交換 全体クリーニング
埼玉県

1941年製のKalamazoo KG-14のリペアです。今回トップの膨らみ矯正やネックリセット等を承りました。ヴィンテージの風格漂うギターで程度もまずまずの状況です。

まずはトップの膨らみ矯正を行います。ブリッジ後ろからエンドにかけて膨らみの症状が出ていますので、ロングクランプを3本使って矯正します。様子を見ながら力加減を調整し、ゆっくりと矯正してゆきます。

トップの膨らみ矯正に続いてネックリセット作業を行います。リペア開始前の弦高は12フレットで1弦4.5mm、6弦5.5mmでした。膨らみ矯正により弦高は1mm程下がりましたが、まだまだ高い状態です。サドルを削っても弦高が標準まで下げられないためネックリセット作業に移ります。ジョイント部分まで指板をボディから剥がし、15フレット溝に開けた穴から蒸気を注入し、治具を使ってネックを外します。

ネックを外した後、古くなった接着剤をきれいに取り除いておきます。このギターはこの部分にトラスロッドの調整口がありますので、順反りの調整をこの時点で行っておきます。ジョイント部分に欠けがありますので補修を行います。

過去にネックリセットでネックを抜く際に欠けてしまい、そのままになっていたのだと思われますが、このままですと強度に不安がありますので接ぎ木を行います。表面を鑿とやすりで整えた後、大きめに加工したマホガニー材を接着します。

周りに合わせて整形します。この後サイドに薄いシムも接着します。次にネックの仕込み角度を鑿ややすりで調整します。目標値まで削れたら、ボディとネックの間にサンドペーパーを挟んで引き抜き、ボディとの当たりを調整します。

ネック仕込み角度調整に伴ってホゾが緩くなっていますのでシムを接着して密着度を高めます。 マホガニーの薄板を準備し、ホゾ部分に接着します。

ホゾの調整に続いてネックの接着を行いました。 クランプでがっちり固定してしばらく置いておきます。続いてサドル交換を行います。元のサドルは漂白の牛骨材が付いていました。

サドルに続いてナットも交換致します。元は牛骨材のナットが取り付けられていましたが、お客様のご希望でオリジナルと同じエボニー材のナットと交換します。真黒のエボニー材を用意し、ナットの形状に仕上げます。

弦溝を適正な深さに切り、表面を整えて完了です。

ナットの微調整や全体クリーニングを施し、全ての作業が完了しました。ネックリセットによりサドル高を上げることができ、ボディ鳴りが向上しました。

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