ブレースとは表板・裏板の内側に補強のために付けられる、棒状の木のことです。ギターの本体自体は2~3mmの厚さの板で出来ていますが、弦の張力 ( 引っ張る力 ) のため、表板に60~70kgの力が掛かっています。大人1人ぐらいの重さが常にかかっているのです。この力にギターが負けないように作らなければなりません。

もし、ブレースが付いていなければ、ギターはどのようになるでしょう。恐らく、弦を張った時点で、表板のブリッジあたりがみるみるうちに膨れ上がり、ブリッジがはがれてしまうでしょう。ブレースはこのように張力に耐えられるギターにするために、必要不可欠な補強材です。フォークギターはスチール ( 鉄製 ) ですので、クラシックギターなどのナイロン弦より、張力が大きいのです。

以上がブレースの構造上の機能ですが、さらにもう1つ重要な機能があります。それは、ブレースの形状が音質に大きく影響を与えるということです。ブレースは大きく分けて 「スキャロップト」と「ノンスキャロップト」に分かれます。「スキャロップト」とはブレースをアーチ状に削ったもので、高音域が強調され、クリアーなサウンドになります。

「ノンスキャロップト」はブレースをアーチ状に削らないもので、太めの音で低音域が強調されます。もちろん、このブレース形状だけて音質が決まるものではなく、各部分の材質 ( 硬さ、重さなど ) の総合で音が決まります。その中でもブレースの形状は音質に与える影響が比較的大きい部分であるとも言えます。ですから、マニアとしてはブレースの形状や配置をどうするかを思案することは、とても楽しいワクワクする作業になるでしょう。

ブレース用の材料はスブルース材で、のこぎりや帯のこなどで切ってゆくことになります。どれくらい必要かは「材料を揃える」のコーナーに載せておきましたので参考にして下さい。ブレースはどれだけ削ると、どれだけクリアーな音になり、強度的にはどれだけ落ちるかの、音質と強度バランスを考慮して、大きさを決めましょう。

よく判らなければ、マーチン系の繊細な音が好みの人は「スキャロップト」ギブソン系の太い音が好みの人は「ノンスキャロップト」にしてみましょう。ここで、ブレースの高さについての注意点を挙げておきます。例えば高さ1cmのブレースを0.2cm低くして、0.8cmにしたとします。この時高さは20%低くしたことになるのですが、強度は0.8の3乗の0.512で、48.8%もダウンすることになります。ですので、高さを調整する時は十分注意して、削り過ぎないようにしましょう。

次にブレースにはブレーシングという配置のパターンがあります。フォークギターでは「Xブレーシングパターン」が主流です。これはX型のブレースをメインとする配置で、強度が十分得られるパターンとして一般化しました。クラシックギターではファンブレーシングという配置で、フォークタイプとはかなり異なります。

どのようにブレースを配置するかも、強度と音質に大きく影響しますので、これも又、楽しい作業です。現存するさまざまなブレーシングパターンを見て、「どんな音がするのだろう」「強度は?」などど思いめぐらし、実際に自分のギターに取り入れてみるのも、試行錯誤的でギターマニアにはたまらないではありませんか。