サドル交換

saddle exchange

サドルの素材は安価なものとしてはプラスチックがありますが、中級以上のギターには牛骨材が使われ、さらに最高級のギターには象牙材が使われています。最近ではABSやブラス(真鍮)、カーボン、セラミックなどの新素材も使われるようになっています。

これらの中で「牛骨」は古来より永く使われ続けていて、サドルの基準となる素材としての評価が一番高いです。言わば「サドルの定番」としてまずはその特性を十分理解し、さらに他の素材を試してゆくというのが良いのではないかと思われます。

又、象牙材は最高品質の材として広く知られ、音質的にもギターに非常に適した材として人気があります。ギターを最高の状態に近づけるグレードアップには、この象牙材を使用することが近道と言えます。

一般的に弦楽器が音を奏でるには、弦の振動が必要です。弦を振動させるには、弦を張り、その両端に楽器本体から弦を浮かせるものが必要となります。ナットは、指板(フィンガーボード)の上の端で、弦を乗せる台として使われるパーツです。又、サドルはボディの下部のブリッジ側で、これもまた弦を乗せる台として使われます。

これらのパーツは音色にかなりの影響を及ぼし、硬めの素材を使えばサステインが向上しますが音の広がりは狭くなります。反対に柔らかめの素材では、甘いトーンとなり、音の広がりが向上しますがサステインは抑えられる傾向となります。

<サドルの成形ついて>

サドルの成形については、既にブリッジに開けられている溝にサドルが合うかをまずチェックします。最初のチェックは厚みが合うかです。ブリッジの溝は3mm程度ですので、サドルもこの厚みに調整します。厚みが調整できたら次は長さを合わせます。これは、ブリッジの原寸で合わせ、両端を丸めます。鉛筆で少し長めに線引きをしておき、バイスに固定して切ります。長さが決まったら次は高さです。高さはブリッジにサドルを付けて4mmぐらい上になるように調整しておきます。

上部はフィンガーボードのカーブ ( R ) に合わせて若干のラウンドを付けておきます。そして若干の丸みをヘッド、エンド方向にもつけておきます。サドル底部が平らになっていて、ブリッジの底にぴったり付くかどうかもチェックします。ここにすき間があると音の伝達が弱くなります。ここの段階ではサドルの高さを、取り合えず4mmの高さにしておき、後で調整するという流れになります。弦高は僅かの違いで弾き易さがかなり違ってきますので、僅かずつ調整してゆきましょう。最終調整は弦を張ってオクターブチェックをしながら行います。

オクターブ調整は弦長の僅かな狂いを調整するもので、12フレット上のハーモニックスと押弦の音程の差を、サドル山の位置をずらすことで最小限の狂いに調整します。ハーモニックスより押弦のほうが高音の場合は、サドル山を後方に、その逆の場合はサドル山を前方に移動させます。

【作業工程例】

1 厚み調整
2 長さ調整
3 高さ調整
4 オクターブピッチ調整

<サドルの交換手順>

サドルを交換する際には、まずサドル溝の幅がどれくらいあるかを測り、それにピッタリの厚みのサドルを探します。アコギでは一般的には2.5mm、2.7mm、.0mm、3.3mmの幅が多いです。作業の手間を考えると、出来る限り溝にピッタリが望ましいですが、確保出来なければ少し厚めのサドルを確保してピッタリの幅になるよう加工します。

まずは現状のサドルを基準に高く加工する場合は1mm~2mm高く、低く加工する場合は1mm~2mm低めのラインを引きます。同様の高さで良い場合は1mm程度高くライン引きします。次に横のラインを現状のサドルより1mm程度長くライン引きしてカットします。カットする場合は万力(バイス)を固定し、歯の厚みが薄いミニノコギリで縦方向にカットしてゆきます。同様に高さのカットも縦方向にセットして切ってゆきます。

ラフカットが終わったら棒やすりで大まかに形を整えます。必要に応じてサドルの両端を丸くします。この時点でサドルが溝にピッタリ入るように厚みと長さを調整します。高さについてはギターに弦を張ってセットした段階で調整します。この段階では、厚みについては最終のサンディングにより少し薄くなることを考慮して僅かに厚く加工しておきます。サンディングは好みの滑らかさ、艶がでるまで実施します。

 

 

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