ネックリセット

neck reset

ネックリセットはネックの反りがジョイントあたりから起きる「元起き」「ハイ起き」と呼ばれる反りの修復や、根本的にジョイントの仕込み角度の問題で弦高が高くなっているギターの修復などに実施します。非常に手間と神経を使う作業ですので、リペアのレベルとしては最高難度と言って良い技術です。

ネックリセットの第一段階としてネックがうまく外せるかどうかということが非常に重要となります。ギターによってはネックの取り外しが困難な場合があります。指板を外してから取り掛かる場合もあります。ギターによっては接着剤にエポキシ系のものが使用されていますが、その場合はジョイント部分が多少欠けることを覚悟で実施する場合もあります。もちろん欠けた部分は補修します。

補修例1  Martin D37k2

指板をボディから剥がし、15フレット溝に開けた穴からスチームを注入して接着剤を緩め、治具を使用してネックを外します。

ネックが外れた直後はスチームの影響で木材が柔らかくなっていますので、古い接着剤の除去後、しばらく乾かしておきます。

専用ジグをセットしネックが剥がれやすくするためにヒール部分を中心に力を加えます

ジョイント内部にスチームを入れるため、まず14フレットを抜く準備として、フレットに熱を加えます。はんだこてを使い慎重にフレットを温めてゆきます

フレットに熱が十分伝わったら、喰い切りですぐにフレットを抜きます

指板にもヒーターで熱を加えながらヘラでボディトップから剥がしてゆきます

14フレットの溝部分に小さな穴を開け、そこにスチームを入れます

高音の蒸気でやけどをしないよう注意します

スチームを入れるとだんだんジョイント部がゆるくなって最後にはボディからネックがは剥がれます

 

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