■ 作業時間
3時間

■ 使用用具
ラッカー缶2本、#600サンドペーパー、新聞紙、マスキングテープ

■ ポイント
ラッカー缶の吹き付けの圧力を安定させるために70℃くらいの湯にしばらく漬けておきます。吹き付けは1回当たりの量を少なくして、何度も繰り返します。

1. はじめての方にはまず「簡易塗装」を紹介します。

いよいよ次は塗装に入ります。塗装の種類にはいろいろあり、「シェラック」「オイルフィニッシュ」「ニトロセルロースラッカー」「アクリルラッカー」「ポリウレタン」などがあります。それぞれ一長一短がありますが、ここではホームセンター等で手に入る「スプレーラッカー」を使って仕上げてゆきます。塗装をする前に、塗装しない部分をマスキングテープで覆っておきます。塗装しない部分はフィンガーボードとサウンドホールの穴の中です。

まず、フィンガーボードをマスキングテープで覆います。フレットワイアーの鉄の部分はそのままにして、木材の部分をテープで覆います。次にサウンドホールの穴をふさぐために新聞紙をまるめて詰め込み、中までラッカーが入らないようにします。

さあ、いよいよ塗装に入ります。まず、天気の良い日を選び、雨などの湿度の高い日は避けましょう。湿度の高い日に塗装を行うと、白っぽくなって仕上げがきれいになりません。ラッカー缶はホームセンターなどに売っている一般用のラッカーで構いません。「クリアラッカー」を選んで2本購入します。

1本700円~800円くらいで手に入ります。これをまず70~80℃の湯に浸して、スプレーの圧力を若干高めにして、安定した吹き付けが出来るようにしておきます。ギターは上から吊るしておきます。ペグ穴に針金や紐などを通して吊るします。

吹き付け方は、20cm程離して軽く吹き付けます。あまり厚く塗らないようにして薄めにまんべんなく全体を吹き付けます。完全に乾くまで待って、#600のサンドペーパーを掛け、ざっと表面のざらつきをなくします。吹き付けは出来れば5回程度を目安にしてサンディングも同様に繰り返し行います。

ポイントは1回当たりの吹き付ける量を少なめにして、何回も吹き付けることです。あまり厚く塗り過ぎると「木の振動」を妨げ、音に悪影響が出てきます。

2. 次は少し本格的なスプレーガンによる「オールラッカー」仕上げを紹介します。

これは中塗り・上塗りともラッカー系で一番暖かみのある仕上げで、音にも良いとされている方法です。ラッカーの硬さはメーカーによってまちまちでこれによりクラックが入りやすいのもありますので、注意が必要です。ギター塗装用としては玄々科学のラッカーが安心して使えると思います。

1馬力のコンプレッサー、スプレーガン、塗料等を用意します。他に詰め替え用のポリタンク(1L,2L)があれば便利です。防毒マスク、ナイロン手袋、攪拌棒、ギターを吊るす場所、などを確保します。はじめに手順からです。着色も含め、木地調整から記しておきます。

1. 木地調整(サンディング#100~#400)
2. マスキング(塗装しない部分をマスキングテープ等で覆います)
3. 木地着色(水性ステイン+無水アルコール)  1:3
4. 捨て塗り(wash coat) ニトロセルロースラッカー+シンナー  1:1  1回
5. フィラー塗り(とのこ)
6. サンディングシーラー塗り(中塗り) シーラー+シンナー 1:1  3~4回
7. サンディング(#240)
8. クリアーラッカー塗り(上塗り、top coat) ニトロセルロースラッカー+シンナー    1:1  10回
9. 水研ぎ(#600→#1000)
10. コンパウンド磨き(7ミクロン:#1200)

1.
「木地調整」を完璧に行い、凹凸を限りなく無くします。上級の仕上がりを求めるならば、この作業はとても重要となります。トップは#100からはじめ#400まででサンディングします。サイド・バックは#100→#240で仕上げます。ネック・サイドは木目に沿って行います。必要に応じて、「水」を少量付けてキズの状態を見ます。水を付けるとキズが浮き出て表面の仕上がり具合がわかりやすくなります。

2.
表面の木地調整が出来たら、木地着色をしない部分のマスキングをします。「トップ」「ウッドバインディング」「バックストライプ(ウッド)」「エンドストリップ(ウッド)」「フィンガーボード」などです。

3. 
次に好みの「水性ステイン」を「無水アルコール」で1:3くらいで混ぜて着色します。「むら」をあまり気にせず、導管に染み込ませるようにします。ハケ又は木綿を使用して刷り込むように行います。必要に応じて塗り重ねます。

4.
着色が終わったら次は「スプレーガン」で捨て塗りをします。ニトロセルロースラッカーをシンナーで1:1に薄めて1回吹きつけます。これによりフィラーが染み込みすぎるのを防ぎ、木地着色を保護して、着色を落ち着かせる効果もあります。

5.
次に木目の横方向にフィラーを埋めます。半乾きになったら素早くふき取ります。スプルースやシダーのトップにはフィラーは不要で、マホガニーやローズウッドの導管の多い材に埋めます。完全に表面が平坦になるのが理想ですが、実際には多少の凹凸が残ります。これをさらに平坦にするために次の「サンディングシーラー」を吹きつけます。

6.
フィラーが埋まったら次は「サンディングシーラー」を吹き付けます。シーラーをシンナーで1:1に薄め、20分間隔で3~4回吹き付けます。これにより表面の凹凸が平坦になりますが、厚く塗り過ぎると「透明感」が落ち、白っぽい感じになり、さらには木材の振動も妨げますので注意します。

7.
サンディングシーラーを吹き付けたら、#320のサンディングペーパーで白い粉が出にくくなる程度までサンディングします。但し「光沢」は多少残るくらいにしておきます。

8.
は「上塗り(トップコート)」を行います。「ニトロセルロースラッカー」をシンナーで1:1に薄めて30~40分間隔で4~5回吹き付けます。2日後に#320のサンディングペーパーで表面をフラットにし、さらに5~6回吹き付けます。

9.
トップコートを10回吹き付けたら、2週間ほどそのままにしておき、次に「水研ぎ」を行います。適当な大きさのボールに水に中性洗剤を1~2滴加え、耐水ペーパー#600で表面の艶がなくなる程度までサンディングします。但し、細かい凹凸、へこみなどは残しておきます。次に#1000で細かい凹凸までサンディングします。

10.
最後に「コンパウンド(研磨剤)」でピカピカに磨きます。いわゆる「鏡面仕上げ」で鏡のように磨き上げます。カー用品店等で「シリコン」の入っていないコンパウンドを探し、ネルなどのウエスで磨きます。コンパウンドは手で多めに表面に付けてから、ウエスでぐるぐると力を入れて磨きます。おすすめコンパウンドはユニコンのFMC821-C(7ミクロン、#1200)です。コンパウンドの中にはどのくらいの粒子なのか明記されておらず、わかりにくいものが多いのですが、このコンパウンドは粒子の大きさ等が明記されていて分かりやすいというメリットがあります。