Question NO.6
素地着色の際、着色ムラを防ぐ方法はありますか

Answer
木材の表面は構成する細胞による微細な凹凸がり、化学的性質も均一ではありません。樹種によっても、同一個体であっても色調、細胞構成、配列などが異なっています。このような素地に着色溶液を塗布すると、着色溶液の浸透むらが原因の着色むらが生じます。又、着色剤の選択によっては木材への吸着に差が生じることもあり、これも着色むらの原因となります。

着色された素地は細かな部分では色が異なっています。例えば、針葉樹の早材と晩材、環孔材の道管部と木繊維、ナラの放射組織と木繊維などでは明らかに色調が異なっているのがわかります。これらの色の違いは木材の質感や木目の美しさが強調されるなどの効果がありますが、辺材と心材の境界がある材、異種樹種の組合せなどの場合には着色むらが生じやすく色違いとなります。これらの色違いを避けるための素地着色方法を以下にまとめてみます。

1.
素地着色の前にウッドシ―ラ―を塗布します。この方法は素地調整のウォッシュコートサンディングとして行うことが出来、けば立ちによるステインリングの防止や着色溶液の浸透むらを軽減させます。

2.
目止め処理を行った後に着色します。目止めは通常素地着色の後に行いますが、目止め剤によって素地をブロックすることが出来、着色溶液の浸透むらを軽減させます。但しこの方法は目止め剤に着色剤が吸収されて着色効果が少なく、色が淡くなり、木目が不鮮明になり、オープンポアー仕上げには使えないなどの制約があります。

3.
ステインシールにより着色します。ステインシールは塗膜着色の一種ですが、通常の塗膜着色は塗料に少量の着色剤を添加するのに対して、ステインシールは着色溶液に少量の塗料を添加して調整する。混合した塗料により浸透ムラを軽減して、色むらをある程度防止することが出来ます。

4.
サップステインや着色方法の組み合わせで色違いを軽減します。サップステインとは辺材を心材色に着色して調整することで、この後同系統の濃い色に着色します。又、塗膜着色により色調の補正を行うなどして仕上げてゆきます。この方法では色むらが目立たないようにするため、どうしても濃色化してゆきます。

5.
漂白処理を行います。色違いがある材料、色に関わる不具合がある材については、一旦脱色させた後に着色すれば濃色化が避けられます。但し現場的に言えば、漂白剤の温度管理、漂白後の処理等作業の煩雑さがあります。

6.
透明微粒子を素地に付着させた後に着色します。この方法は素地を微粒子によりブロックして浸透むらを防ぎますが、目止め処理ではなく、硫酸バリウムなどの透明性が高い顔料の分散液をスプレーで塗布し、木材表面に透明かつ均質な性質を与える事にあります。

着色剤の種類を問わず、水性・油性・溶剤系の着色溶液を塗布することにより、色むらを軽減することができ、着色効果も大きいです。

7.
キトサン水溶液を塗布した後に着色します。カニやエビに含まれるチキンから化学処理によって得られたキトサンを、薄い酢酸水溶液に溶解させて素地に塗布します。この後、着色溶液を塗布すると均一な着色効果を得ることが出来ます。