Question NO.7
使用環境が激しいところの塗装で、メンテナンスを必要としない塗装はありますか

Answer
結論的にはメンテナンスを必要としない塗装仕上げはありません。耐久性を重視した仕上げには、塗膜で完全に素地を包み込んでしまうか塗膜を形成せずに塗料を染み込ませるものがあります。塗膜で包み込んでしまう完全表面造膜では、単に塗膜性能がよいことだけでは高い耐久性は望めません。

被塗物である木材は水分による寸法変化、変色、腐朽などが起こり、素地としての安全性に欠けます。この仕上げに要求される塗料は素地の動きに対応できる柔軟な塗膜であって、塗膜自身も劣化を起こさず、塗装後は液体の水は通しませんが、木材が呼吸できる透湿性があることが条件となります。例えば2液形のポリウレタン樹脂塗料は強い塗膜を作りますが、水などが直接当たる部位では木材の動きに付いてゆけなくなり、割れ・剥離や黄変しやすくなります。

塗膜された材は綺麗な仕上がりを維持している塗装初期の状態と比較すると、割れ・剥離ができたものとのギャップが大きいです。又、劣化し始めると進行が早くなりますので、再塗装を行う事になりますが、塗膜の剥離は困難な作業となります。

一方、塗料を材に染み込ませる仕上げ、例えばオイルフィニッシュや木材保護着色剤などは塗膜を作らないので、割れ・剥離は生じませんし、塗料が内部に浸透してはっ水性もあります。しかし、塗膜による保護機能が期待できないので、素地表面から次第に劣化が進んでゆくことになり、塗り替えやワックスなどのメンテナンスをこまめに行わないと素地の傷みが大きくなります。但し、塗膜の剥離などの作業は不要で軽い研磨の後、再塗装が可能です。