塗装工程を組むうえで一般に同種の塗料での塗り重ねは問題を生じる事は少ないです。例えばニトロセルロースラッカーの場合、下塗りにラッカーウッドシーラー、中塗りにラッカーサンディングシーラー、上塗りにラッカークリア又はラッカーフラットを選択すると、塗り重ねによる欠陥を生じにくいです。木工用塗料は種類が多くそれぞれ長所、特性があります。塗装目的に対して各塗料の乾燥性、肉持ち性、研磨性、作業性、仕上がり感、価格など長所だけを取り上げて塗装工程を組む場合、適切な組み合わせと不適切な組み合わせが生じます。

異種塗料の組合せで適切な場合の例としては、ポリエステル樹脂塗料を用いた塗装系があります。ポリエステル樹脂塗料は木材に対する浸透性、付着性が良くないので、2液形ポリウレタンシーラーを下塗りとして使用します。又、上塗り塗料にはニトロセルロースラッカー又は2液形ポリウレタン樹脂塗料のクリアー、フラットを用います。

明らかに不適切な組合せは、化学反応をせず溶剤揮発のみで乾燥するニトロセルロースラッカーの上に、反応硬化するポリウレタン樹脂塗料などです。下塗りラッカー塗膜は橋かけ形塗料に比べて強度的に弱く、上塗り塗料の溶剤により再溶解するなど、弱い土台の上に建物を建てるようなことで、付着不良・ちぢみ・クラックなどの欠陥が生じやすいです。