【 あ行 】
赤身~音速

(赤身)

材の心材部分の別称で辺材に比べ赤みを帯びているためにこう呼ばれます。樹脂が多く水分が少なく、強度・耐久性に優れています。木部の中で中央に近い着色した部分。生存細胞を含まず耐久性に富みます。辺材の対語です。

(アクリルラッカー)
アクリルラッカーはアクリル樹脂を主成分とする1液形の塗料で、揮発乾燥により塗膜を形成します。他の塗料よりも高い透明性があり、エナメルも鮮やかな色が得られます。又、光沢保持性、耐黄変性、耐油性、耐汚染性に優れ、ぬれ色が抑えられますが、不揮発分が少なく、1回の塗布で得られる塗膜厚が薄いです。このような特徴から建築内装などに利用され、針葉樹の柔らかい材質感を生かした薄塗り白木仕上げに適しています。ラッカー形塗料ですので補修が簡単に出来ますが、湿度が高いとブラッシングが生じますので、専用シンナーのほかリターダシンナーなどを用いて溶剤の揮発を遅くします。

(アセチル化木材)
木材を無水酢酸で処理し水酸基をアセチル基で置換した木材。

(圧縮あて材)
針葉樹に発生するあて材で二次壁中層のミクロフィブリル傾角が45度、リグニンに富み二次壁内装を欠くなど、仮道管壁構造が特異。

(あて材)
木材キズの一種。傾斜した樹幹や枝に発生する非常に特異な木部で、針葉樹では傾斜の下側に、広葉樹では上側に形成されます。傾斜地などに生育する樹木や枝には傾いた幹を上向きに屈曲させるための組織が形成されます。この組織を「あて」と呼びこの組織を持つ材を「あて材」と言います。針葉樹は傾斜地の下側に圧縮あてを、広葉樹は上側に引張りあてを形成します。あて材は縦方向の収縮が大きく、材内の収縮率の違いにより乾燥時にねじれや割れが発生しやすくなります。

(アルキド樹脂)
油、グリセリン、ワタル酸などを反応させた樹脂。フタル酸樹脂塗料、油変性ポリウレタン樹脂塗料、ニトロセルロースラッカーなどの原料になります。

(アルコールステイン)
アルコールに溶ける染料をメタノールで溶かしたもので、浸透性が良く乾燥が早く、発色が鮮明です。しかし、素地をけば立たせ、浸透・乾燥が早いため着色むらが生じやすく、耐光性も悪く、多少のブリードも生じます。着色はハケで行うとむらが生じるので、ノズル口径が小さいスプレーガンで行います。浸透性にムラを生じる素地の場合は、塗出料を絞り数回に分けて着色します。尚、アルコールステインの中にNGRステインと言われるものがあります。NGRとは Non Grain Raising の略で、繊維がけば立たないという意味です。水性ステインよりもケバ立ちは少ないですが、溶剤ステインや油性ステインで5~6時間程度は掛かる。又、ニトロセルロースラッカーに混合することが出来ますが、油性塗料・ポリウレタン樹脂塗料などとは混合出来ません。

(あわ)
あわとは塗装の表面又は内部に気泡や気泡の抜けた穴が残る現象をいいます。木材中の空気が塗料や溶剤に置き換わる時に生じたり、塗料の厚塗りにより生じます。特にポリウレタン樹脂塗料では厚塗りを避け、急激な温度変化をさせずに十分な放置時間を取って乾燥します。

(アンダーコート)
中・上塗りに対する言葉で、素地に最初に行う塗装のことです。塗料はウッドシ―ラ―を使います。下塗りとも言います。

(維管束形成層)
幹や根・枝の周辺にあって内側に木部を、外側に師部を生産して肥大成長を引き起こす重要な分裂組織。通常は形成層と略称。

(生節)
生きた枝の木部が樹幹に取り込まれた部分で、幹の木部組織とつながっています。

(異種塗料の組合せ不具合)
同系塗料の組合せによる塗装では多くの場合不具合は生じませんが、実際には異種塗料との組み合わせにより塗装することが多いです。例えばポリエステル樹脂塗料は主に中塗りに使用され、下塗りにはポリウレタン樹脂塗料かニトロセルロースラッカーが一般に使用されています。しかし、ニトロセルロースラッカーの上にポリウレタン樹脂塗料を塗るような組合せではポリウレタン樹脂塗料の硬化不良や付着障害を生じやすいです。明らかに不良となる組合せはもちろん、十分に確認されていなく実績のない組合せでは予期しない欠陥を生じます。

(板目面)
樹幹の縦断面の中で、年輪と並行な面のこと。接線面と同義語。木口面・柾目面の対語。

(一次壁)
P層と表記されることが多く、細胞が分裂中および拡大中に形成された細胞壁。非常に薄くて網目状。二次壁の対語。

(異方性)
木口面、板目面、柾目面それぞれの面 ( 方向 ) の性質が異なることで、細胞の配列や形態、細胞壁の構造が方向によって異なるため、木材の性質の多くは3主軸方向や主軸がつくる3断面で異なります。木材は近似的に直交異方体とみなされます。

隣接する細胞間の共通部分を細胞間層、その内側の層を一次壁、その内側の層を二次壁をいいます。二次壁は細胞の外側より外層、中層、内層と呼ぶ三層より成ります。これらの層の内、二次壁中層は細胞壁の大半を占め、木材の物理的性質に極めて大きな影響を及ぼします。二次壁中層は鉄筋コンクリートに似た構造を持ちます。鉄筋にあたるのはセルロースという直鎖状の結晶した高分子の束 ( ミクロフィブリル ) で、これが細胞の長軸方向から少し傾いて無数に配列しています。この角度をミクロフィブリル傾角と呼びます。鉄筋と鉄筋の間はコンクリートに当たる無定形の橋かけのある高分子のリグニンで充填されています。

又、鉄筋とコンクリートをなじみよくするために非結晶性の鎖状高分子であるへミセルロースが鉄筋の表面に沈着しています。へミセルロースとリグニンを合わせてマトリックスと呼びます。二次壁ではミクロフィブリルとマトリックスの占める割合は、同程度です。外層や内層では横方向に走向しています。細胞間層や一次壁ではマトリックスの占める割合が大きいです。

(入皮)
いりかわと読みます。樹木が生長の過程で外皮に傷などを受けると、傷付いた部分の形成層の細胞活動が停止し、その部分を樹皮が皮が巻き込むように周囲の組織が成長します。。その結果、樹木内部に樹皮が巻き込まれてしまったものが入皮です。

(色)
木材の色は同一樹脂、同一材面であっても一様ではありませんが、概ね心材の色によって表わしています。木材は黄赤を基調として、明度・彩度により色調の変化があります。

赤系
サクラ、アカガシ、シタン、マホガニー

黄系
クワ、キハダ、ツゲ、カヤ、イチョウ

緑系
ホウ

褐色系
カツラ、ケヤキ、クス、ナラ、チーク、トネリコ、サワラ

ねずみ系
カキ、神代カツラ、神代スギ、ネズコ

黒系
クロガキ、コクタン

白系
トチ、カエデ、ヤナギ、サワグルミ、モミ

塗装仕上げに及ぼす色に関する問題は次の3点に集約されます。

1. 同一樹種間の色のばらつきや素地色の部分的な色むら
2. 紫外線による変色
3. 素地色自体が良くない

一般に木材の着色は材固有の色を強調したり同系統の色調で均一に仕上げる目的で行います。漂白処理後に着色したり、素地色に問題がある場合の処理として、低級材を高級材色に着色したり、濃色に着色します。

(色押さえ)
着色した上に塗装して色の剥げを防ぎ、色が上塗り塗料に移行するのを防ぐ塗装のこと。

(引張あて材)
広葉樹に発生するあて材で細胞長軸に平行なミクロフィブリルのみから成るG層が木繊維壁に形成されます。

(ウォッシュコート)
低い粘度のウッドシ―ラ―を塗布し、素地を固める塗装です。素地研磨の前に行うと毛羽が取れやすく、素地着色の前に行うと色むらを防ぐ効果があります。

(ウッドシ―ラ―)
透明仕上げ用下塗り塗料のことを言い、ビヒクルの種類によって分けられます。

(ウレタン仕上げ)
一般にいうポリウレタン樹脂塗料は水酸基をもつ「主剤」とイソシアネート基をもつ「硬化剤」とを混合して使用します。塗装仕上がりはラッカーに比べてやや木質感を損ないますが、他の橋かけ形塗料と比べて作業性が良く塗膜物性も優れているので、木工塗料では幅広く用いれれ使用料が最も多いです。中塗り用や上塗り用にはアルキドタイプとアクリルタイプがありますが、一般的にアルキドタイプは耐溶剤性が出るのに時間が掛かり、黄変しやすいです。アクリルタイプは耐溶剤性が出るのが早く、黄変性が少ないです。アコギ塗装にも多用されています。

(上塗り)
塗装工程の最後に行う塗装で、平滑性・光沢・色など仕上がりの外観がこの行程で決まります。上塗りの塗料には塗膜の平滑性、光沢性、感触性(肌ざわりやスリップ性)、表面強度(硬度、耐摩耗性、耐薬品性、耐汚染性など)が要求されます

(エアスプレー)
塗料を吹き付けるエアスプレーの原理は、口の中に含んだ水と廃の中にある空気を勢いよく吹き出すと霧になります。肺の空気つまり気体と口の水 ( 液体 ) を混合した結果が霧となって出ます。実際には、コンプレッサーで圧縮した空気と液体塗料を混合させる機械がスプレーガンです。

(NGRステイン)
Non-Grain-Raising-Stain の略で素地を荒らさない着色剤。高級塗装に使用します。

(エポキシ樹脂接着剤)
異なる性質の2種類の樹脂を混ぜることにより硬化する2液タイプの接着剤で、多くの接着に適します。エポキシ樹脂とは分子内にエポキシ基を含む樹脂やその反応によって生成する樹脂を言います。

(エマルション塗料)
塗膜を作る成分が微粒子状で、水の中に分散している水溶性塗料のことです。水の蒸発によって乾燥し、乾燥塗膜は再び水に溶けることがありません。

(エレメント)
木質材料を構成している要素を言います。例えば集成材のエレメントはラミナ、LVLは単板、バーティクルボードやファイバーボードでは切削片や木材繊維です。

(オープンポア仕上げ)
オープンポア仕上げは塗料や目止め剤で木材の道管やその他の穴を埋めずに、道管内部を含め比較的薄い塗膜で仕上げるものです。このため塗料の粘度を低くして塗布しないと、道管の周囲が盛り上がる目はじきが起こります。又、あまりに塗料粘度が低かったりスプレー吹き付け時の空気圧が強いと、道管内に塗膜が形成されません。この仕上げは木目を生かした仕上げ法で大きな道管を持つ広葉樹の環孔材に向いています。透明仕上げでは素地に直接又は素地に着色した後、ニトロセルロースラッカーやポリウレタン樹脂塗料などの透明塗料で塗布し、不透明仕上げではエナメルを塗布します。一般的にサンディングシーラーという中塗り用塗料は、塗膜が厚くなるので使用しないことが多いです。道管の縁をすっきりと鋭角に仕上げるには、素地と塗膜の研磨が欠かせませんが、塗膜が薄いので研磨によって素地が出てしまう事がないように注意します。

オープンポア仕上げでは大きな道管が埋まっていないので、ごみ・汚れが目に詰まりやすいです。又、塗膜が薄いことで塗膜による素地の保護という面よりも、視覚的効果を狙った仕上げであると言えます。針葉樹では薄い塗膜で柔らかな材質感が表現されると共に、手あかなどの汚れも防ぐことが出来ます。

(オイルステイン)
油性着色剤で沢山ある着色剤の一種、素地着色に使う。他に水性やアルコールなどのステインもあります。

(オイルフィニッシュ)
オイルフィニッシュは植物性の温室で乾燥する油 ( 乾性油 ) を主成分とした塗装法です。あまに油、ボイル油、油性ワニスなどが使われる他、フェノール、ポリウレタンなどの合成樹脂や天然樹脂、さらに乾燥促進剤、溶剤が配合されています。代表的なものにはチークオイルがあります。オイルフィニッシュは木材塗装の中でも最も木質感を大切にする仕上げです。

塗料を木材の表面に着けるのではなく、表面から内部に浸透させてぬれ色による深みのあるしっとりした美しさを出しながら、汚れなどから木材を保護してゆきます。デンマークやアメリカの高級家具に用いられる塗装で、チーク材のような樹脂分を含んだ木材や、ウォールナット材、ローズウッド材などの濃色材、硬いケヤキ材に適しています。セン材、タモ材、シナ材などの淡色材や軟材には不向きです。浸透仕上げでもあるため、むく ( ソリッド ) 材か0.8mm以上の突板への使用に硬化がありますが、素地づくりで仕上がりの良し悪しが決まります。 アコギ塗装としては、ネックの塗装に多くみられますし、手工ギターにも多用されています。オイルフィニッシュの主な特徴は、

①浸透又は極薄膜仕上げであり、木材の材質感を生かせる
②特別な技術を必要とせず、単純な作業で仕上がる
③木材繊維に浸透しているので、割れたりはがれたりしない
④再塗装が容易で仕上がりが再生される
⑤表面にキズがついても簡単に補修ができる
⑥布で拭きあげるだけで美しく保てる
⑦耐水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐衝撃性に強い

(応力)
物体に外から力を加えた時、物体内部に仮想的な面を考えて物体を二つに分けて考えると、その面の両側は互いに力を及ぼし合っています。単位面積当りのこの力を応力といいます。この力の方向が面に垂直の時法線応力、面に平行の時ずり応力といいます。一般に斜めの時は両方の成分があることになります。法線応力が互いに押し合う向きを圧力、引き合う向きを張力といいます。

(音の強さ)
音波の進行方向に垂直な単位面積を通って、単位時間に流れるエネルギー

(音の透過率)
入射音の強さに対する透過音の強さの比を言います

(音圧)
単位面積に作用する音波の平均的な力のことをいいます

(音圧レベル)
音の強さを音の強さのレベル ( dB ) で表したもので、耳に聞き得る最小の音の強さに対する音の強さの比の常用対数x10で表します。

(音速)
木材を通る音の速さは、繊維方向で4000~5000 ( m/sec )、放射方向・接線方向で1000 ( m/sec ) です。