【 か行 】
加圧常圧交替法~コンディショニング

(加圧常圧交替法)
秒や分単位で加圧~常圧を繰り返し、薬剤を木材内部まで注入する方法です。生材の処理に適しています。

(加圧処理)
時間単位で加圧と減圧を行い、薬剤を木材内部まで注入する方法。生材の処理に適しています。

(外樹皮)
幹・根・枝の最外部にあり、コルク形成層から外側の褐色で生存細胞の無い樹皮部分をいいます。長年の肥大成長に伴って、外側から次第にはがれ落ちます。

(化学成分)
木材の微細構造は「リグニン」がパイプ状の細胞(セルロース)を結び付ける接着剤の役目をしています。「セルロース」は殆どの樹脂で50%程度を占め、へミセルロース、リグニンは針葉樹、広葉樹によって大まかな違いがありますが、それぞれ20~30%を占めます。「セルロース」「へミセルロース」「リグニン」の3成分は材の強度に影響を与える事から骨格成分とも呼ばれます。副成分には水、アルコール、アセトンなどから抽出できるヤニのような油脂や樹脂類があります。これらを抽出成分と総称し、含有量は2~5%程度です。

(化学装飾)
木材を化学薬品で処理し、材質の改善を図ることをいいます。

(拡散処理)
高含水率の木材を、水溶性薬剤の高濃度液に浸し、薬剤を深く浸透させる方法をいいます。

(学名)
ラテン語の属名を種名、命名者の組み合わせで表記された、生物種の世界共通の学術的呼称をいいます。

(加減圧交替法)
秒や分単位で加圧~減圧を繰り返し、薬剤を木材内部まで注入する方法です。生材の処理に適しています。

(夏材)
針葉樹材で夏に形成される年輪の外側にある重厚な部分。晩材ともいいます。

(可視光)
ものの形や色を識別出来る光の領域で、紫外線と赤外線の間にある380nmから780nmまでの波長の光を言います。

(カシュー樹脂塗料)
カシュー樹脂塗料はカシューの木の実 ( カシューナッツ ) の殻から抽出されるカシューナットオイルを原料として作られます。カシュー樹脂塗料は漆よりも光沢がありますが、仕上がり感が漆に似ているため漆の代用として用いられます。この塗料の乾燥は空気中の酸素を取り込む酸化重合なので、漆のように湿度を気にする必要はありません。乾燥が遅く流転性が良いのでハケ塗りがしやすい半面、塗膜のたれやホコリが付着しやすいので塗膜が乾燥するまで注意が必要です。一度に厚塗りし過ぎると上乾きとなり、表面にシワが生じます。ミネラルスピリットやカシューシンナーなどで希釈し、2~3回に分けて所要の膜厚に仕上げます。塗膜は底光りする光沢感があり、じん性・耐水性・耐油性に優れていますが、傷が付きやすいです。用途に応じてクリヤー、エナメル、サ―フェイサー、パテなどがあります。アコギ塗装としては手工製作ギターにまれに使用されます。

(カゼイン接着剤)
牛乳や大豆中に含まれるカゼインに石灰、カセイソーダなどの防腐剤などを添加して調整した接着剤をいいます。耐水性や耐久性に劣るので、特殊な用途のみに使用されます。

(ガソリン研ぎ)
水の代わりにガソリンを付けながら研磨する方法で、素地を膨潤させずに効率よく研磨することができます。ガソリンは乾燥が速いので、手マメにガソリンを付けながら行います。アコギ塗装の場合は素地研磨には用いず、塗膜の研磨の際に用います。

(硬さ)
木材を使ってものを作る場合、その硬さを把握することは重要です。木製品に外部から力が加わると壊れる場合がありますが、最も弱い部分で壊れるはずですので、木材そのものの強度を予測することは難しいですが、一般的な性質として次のことが考えられます。一般に「比重」の大きいものは郷土が大きく、「含水率」が高いほど小さい。又、「節」は強度に大きな影響を与える場合が多く、無視できません。木材は繊維方向へ引っ張る値は、金属よりも大きく、木材は軽くて強い材料と言えます。

(楽器塗装法)
楽器の種類は非常に多いですが、代表的なものとしてはギター、ピアノ、バイオリンなどがあります。素材も木材、金属、プラスチックなどの異種材が使用されるものもあります。塗料は塗膜が硬く、耐摩耗性の良いものが望ましいです。ギターにはスプルース、ローズウッド、マホガニー、メイプルなどが用いられ、ニトロセルロースラッカーやポリウレタン樹脂、シェラック、オイルフィニッシュなどが使われ、着色塗膜によるぼかし(サンバースト)などが施されます。ピアノ塗装は黒色不透明仕上げやローズウッドなどの素地を生かした透明仕上げはオープンポア仕上げが主流です。使用される塗料はポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が多いですが、ニトロセルロースラッカーも一部用いられます。バイオリンにはカエデ、エゾマツを使い、ニトロセルロースラッカーによる着色透明仕上げが多いです。

(褐色腐朽菌)
木材のセルロースとへミセルロースを分解する菌で、木材が褐色になり亀裂・収縮・変形を引き起こします。

(かなすじ)
シュウ酸石灰などの鉱物質の集積による変色部分で、カンナなどによる切削に障害となります。

(かぶり)
乾燥した塗り面が曇ったり白化して光沢を失うことがあります。この現象をかぶり ( 白化、ブラッシング ) といいます。塗装直後に塗料表面から溶剤揮発が始まり、この時に蒸発熱を奪われた塗り面に空気中の水分が結露して混入し、不溶解現象により白化します。梅雨期のような高温多湿時に発生しやすいです。特に乾燥が早くシンナー希釈量の多いラッカーに生じやすいので、リターダーシンナー、ノンブラッシングシンナーを5~10%程度混入して緩やかな乾燥とします。

(から研ぎ)
研磨紙、研磨布などを用いて水などを使わずに研ぐ方法で、下塗り・中塗り・上塗りの各塗膜を平滑に研磨したり、パテ付け箇所の荒研ぎや余分な目止め剤を除去するために行います。手工アコギ塗装でオイルフィニッシュを行う場合は、から研ぎなどの研磨の出来栄えが仕上がりに大きな影響を与えます。

(仮道管)
針葉樹の水分通導と強度指示の両方の機能を持ち、針葉樹のほとんど全てを占めるとても重要な細胞です。広葉樹にも存在しさまざまな形があります。

(管孔)
広葉樹の水分通導を受け持つ組織で、導管が上下に長く連なったもの。木口面に表れる導管のあなのことを言います。

(含水率)
木材に含まれる水分量を全乾状態の木材重量に対する百分率で表したものです。楽器用材の含水率は8~10%が理想です。

(乾燥)
木材中の湿気や水分がなくなってゆくことで、形状などにさまざまな変化・障害をもたらします。
<反り>
曲がり、幅反り、縦反り、ねじれなどの症状が出ます。
<割れ>
表面割れ、内部割れ、小口割れなど
<表面硬化>
不良乾燥による木材表面の硬化は前期と後期があります。乾燥の初期には表面だけが早く乾燥して収縮しようとしますが、内部が収縮しないため表面は引張応力を受けて変形し、内部は圧縮応力を受けます。この状態を表面硬化の前期といい、表面の割れが起こる事があります。その後乾燥を続けると内部も乾燥して応力が逆転し、内部では見かけの収縮量が多くなるような変形が起こり、内部割れを生じる危険までてきます。この状態を表面硬化の後期をいいます。表面硬化を起こした材はのこなどで加工中に著しい反りを生じて危険であり、製品となってから狂いが出てきます。このような応力を取り除くために、乾燥後コンディショニングを行って水分傾斜を取り除き、応力の緩和を図ります。
<コラップス>
落ち込みともいい、生材を高温で乾燥すると細胞が変形したりつぶれたりして材面が筋状にくぼむことがあります。この現象をコラップスと言います。コラップスの起こりやすい材はユーカリ属、ドロノキ属、ナラなどです。
<変色>
木材を高温で乾燥すると暗色に変色することがあります。一般に針葉樹よりも広葉樹が変色しやすう、トネリコ属、カエデ属、カバ属、ブナ属、ナラ属等が変色しやすいです。又、桟積みの桟木を用いた痕が残って塗装後も欠点として現れる事があります。これをステッカーステインをいい、相当深くまで変色しています。ステッカーステインを生じやすい材はカバ、カエデ、ブナ、ナラなどで辺材部に多いです。

(乾燥応力)
乾燥に伴って木材に発生する力のことです。

(乾燥不良)
塗装後に時間が経過しても硬化乾燥しないことをいいます。ラッカー形の塗料では極端に遅い溶剤を使用した場合、橋かけ形塗料では硬化剤、促進剤、触媒などの添加不足や乾燥温度が低く、化学反応がスムーズに進行しない場合に生じる事があります。

(顔料系着色剤)
顔料系着色剤は有色顔料が粒子の状態で分散しているので、染料系着色剤に比べると一般に素地への浸透性が悪く透明性も低いので、木目がやや不鮮明になります。しかし、着色ムラが生じにくく、耐光性に優れています。又、環孔材の木目を強調する仕上げに適しています。はけ、スプレー等で塗布し、着色剤を塗布した後ウエスで刷り込み拭き取ります。着色ムラが生じにくく乾燥が遅いので、拭き取りの作業性が良いですが、乾燥に時間が掛かります。着色効果を高めることから、一般に染料系着色剤であらかじめ着色し、ウッドシーラーなどで色を抑えた後に塗布します。これで着色剤の素地jへのからみつきが少なくなり、拭き取りの作業性を向上させることにもなります。

①水性ステイン
素地着色として用いるほか、との粉などの顔料と混ぜて着色目止め剤として用います。溶媒が水なので染料系水性ステインと同様の性質があります。
②アルコールステイン
乾燥が早いわりに色むらが少なく、上塗り塗料へのブリードがないことから、主に建築内装材への素地着色剤として用いられます。
③溶剤(万能)ステイン
溶剤ステインは合成樹脂系の目止め剤に混合して使われる他、ポリウレタン樹脂塗料などの塗料に混合して塗膜着色に用いたり、素地着色に単独で用いられます。色ムラやブリードが少なく、耐光性が良いので多用されます。
④油性ステイン
顔料を乾性油や油性ワニスに混ぜ石油系溶剤で希釈したピグメントワイピングステインとして、又は道管当を充填させるための顔料を加えた油性の目止め着色剤として用いられます。

(生地仕上げ)
生地仕上げは着色しない仕上げで木材固有の色をそのまま表現したものです。透明塗料によって仕上げますが、色調の良い樹種の選定、素地の欠点(変色、きずなど)の除去、精密な加工等に注意を払う必要があります。

(キズ)
木材の欠点であるキズには、木立の間に生じたものや人為的なものがあります。キズである節などを意図的に利用したり、材質が美しいぬか目をあえて利用することもありますが、加工や塗装には大きな影響を与え、製品の仕上がり外観や強度を左右します。

(吸音率)
物質に入った音は物質表面で反射、吸収、通過をしますが音の強さに対して吸収された音と、透過した音の強さの和の比をいいます。

(吸湿)
木材の吸湿性は温度・蒸気圧・吸着性によって影響されます。一定の温度において物質の含水率と関係湿度の関係を示す曲線を吸湿等温線といいます。温度を一定をして関係湿度を順次増大させてゆく場合と、関係湿度を下げてゆく場合との含水率を測定すると、吸湿してゆくほうが低い含水率を示します。木材の膨張・収縮は細胞壁内の水分により生じるので、含水率の変動を少なくすれば寸法は安定します。ですので含水率を一旦8%程度に乾燥させた後吸湿するようにすれば、含水率の変動が少なくなり、寸法の変化を抑える事ができます。

(強度)
物体に作用した力が限界に来た時破壊が起こりますが、この時の物体の単位断面あたりの力を言います。一般に木材は繊維飽和点以上では強度に及ぼす影響は殆どありませんが、繊維飽和点以下では含水率が小さくなるほど強度は大きくなります。この理由は繊維飽和点以下では、含水率の増減に伴い細胞壁が膨張・収縮して、隣接するセルロース間の凝集力も増減するためです。しかし、自由水は細胞壁の膨張・収縮に関与しないので、繊維飽和点以上では強度は変わりません。曲げ・せん断・引っ張り強さは含水率が5~8%で最大値をもちます。又、木材は比重が大きくなると共に強度も大きくなり、その関係はほぼ比例します。

(強度支持機能)
樹体を空中高く支える木部の機能。針葉樹では仮道管、広葉樹では木繊維が受け持ちます。

(クリープ)
物体に一定の力を加えると変形が時間とともに増加する現象のこと

(クローズポア仕上げ)
クローズポア仕上げは道管をはじめとする全ての穴を塗料や目止め剤で埋め、平滑な塗面に仕上げる方法です。特に塗膜を磨いたりつや有り塗料を塗布し、鏡のように平らで光沢のある仕上げにしたものをミラースムース仕上げと言います。クローズポア仕上げは素地の質感より塗膜の質感表現するもので、厚い塗膜にするために塗膜の欠陥が現れやすく、塗装環境・乾燥条件・塗り間隔などの作業管理に留意が必要です。不完全な目止めや目止め剤の収縮、素地研磨の研磨粉の不完全な除去、素地の不規則な目やせなど、素地や目止めの不十分な調整と材質の欠点により塗面にピンホール、目やせ、うねりが起こりやすいです。又、乾燥が不十分な塗膜への塗重ねによる目やせ、針葉樹の早・晩材の塗料浸透むらに起因するような目やせも目立ちやすいです。

(形成層)
維管束形成層の略称で、細胞分裂が進行している領域全体を形成層帯と呼びます。

(結合水)
細胞壁実質の吸着点と結合した繊維飽和点以下の水分のこと。

(研磨)
木工塗装の研磨には①研磨紙、研磨布やスチールウールなどを使った素地と塗膜の研磨②ポリッシャーやタンポによる塗膜の磨きがあります。厳密には前者は研磨剤の刃で研ぎかすを出す研削ですが、塗装ではこれも研磨と称しています。塗膜の研磨紙は仕上がりに大きく影響し、特に中塗り塗料として用いられる各種樹脂サンディングシ―ラ―塗膜の研磨は重要です。過度に力を加えて研磨すると、塗膜が摩擦熱で軟化してヨレが出るし、研ぎ足が残ったり、着色素地を剥がすことになります。又、塗膜が乾燥していない時に行いますと、塗膜のヨレ、研磨紙へのからみ・目詰まり等が起こるので、十分に乾燥させて行うことが重要です。透明仕上げの場合の研磨は原則として繊維と平行方向に行います。尚、研磨粉はウエスでよくふき取ると共に、エアガンなどで完全に除去します。

(研磨紙・研磨布)
研磨材を和紙・クラフト紙・耐水紙・綿布などの基材に、合成樹脂接着剤などで接着したもので、一般にサンドペーパーや耐水ペーパーなどと呼ばれます。研磨紙・研磨布は素地研磨や塗膜研磨に多用され、水研ぎやガソリン研ぎの場合は耐水ペーパーが用いられる。形状にはシートとロールがあり、ロールには裏面に接着剤が付いたものがあり、サンダーなどに張り付けて使うと便利です。研磨材は硬くて切れ味が良いことからアルミニウムオキサイド、シリコンカーバイドが多く用いられています。

研磨紙の裏面にはC-400-CWなどの表示があり、Cは研磨材がシリコンカーバイドのことで、400は研磨材の粒度の粗さを表す番手、CWは基材の重量を表しています。基材が重ければ腰の強い研磨紙となり、硬質の塗膜研磨になります。一般にはCWが用いられ、粒度の粗さを表す番手は、ふるいの網の目の数を表しています。研磨材の粒度は、素地研磨の場合では素地の材質によって選択し、塗膜研磨においても下塗り・中塗り・上塗りにより選択します。

素地研磨には100~320番、下・中塗りには180~400番、上塗りには400~800番、上塗り磨き仕上げには600~1000番を目安とし、研磨機で行う場合は手研磨よりも粗い粒度を使い、水研ぎはカラ研ぎよりも細かい粒度を使います。

(合成ゴム接着剤)
合成樹脂や合成ゴムなどを有機溶剤に溶かした接着剤です。土木・建築用、又は工業用途を問わず、合成ゴム系接着剤の種類は極めて豊富です。接着対象物も、紙、布、皮革、木材、及び各種建材等々、およそ考えられる殆どの物に使用されています。これほど広範な用途を得た理由は、性能的に優れたものであった事に加え、使用法が簡便である事と比較的安価である事がいえます。

(合成樹脂塗料)
合成樹脂塗料は原油から作られる合成樹脂と塗膜の主成分にするもので、現在仕様されている塗料の中では最も多く、用途に応じた性能を有する各種の塗料があります。木工用塗料の代表的なものを以下に挙げます。

1.フタル酸樹脂
2.酸硬化アミノアルキド樹脂
3.不飽和ポリエステル樹脂
4.ポリウレタン樹脂
5.アクリルラッカー
6.紫外線 ( UV )

(光沢)
木材の光沢は光の反射によって現れ、木材の微細な細胞構造により正反射又は乱反射します。正反射光が多いものを光沢度が高いと言い、乱反射光が多いものを光沢度が低いと言います。一般に木目が緻密なものは光沢に富み、粗いものは光沢が鈍いです。針葉樹ではひのき、ヒバ、広葉樹ではカエデ、ミズメ、ミネバリ、サクラ、キリ、ケヤキなどが光沢に富みます、木材素地は絹のような光沢を持つと言われます。表面に微細な凹凸がある木材は人の目に優しい光沢を有します。学習机などの天板を塗装によって鏡面のようにしてしまうと、照明によりまぶしく感じられます。このような場合は素地の凹凸を生かした薄い塗膜で仕上げたり、つや消し塗膜で仕上げることもあります。

(合板)
木材を薄くむいて板とし、板の繊維方向が互いに直交するようにして奇数枚を積み重ね接着剤で貼(は)り合わせて1枚の板としたものです。合板をつくるのに用いる薄板をベニヤveneerといいますが、日本では合板を誤ってベニヤまたはベニヤ板とよぶことがあります。建築用途として屋根、内外壁、床、天井の下地材および仕上げ材、木造住宅の筋かい代替、コンクリート型枠、足場板、ドア、家具があり、楽器、運動用具、電気機器、車両、船舶など幅広い分野で用いられます。

(光変色)
光変色とは木材の光吸収で始まる化学変化のことで、紫外線などを吸収する成分によるとされています。光による色の変化には大きく分けて濃色化(やけ)と淡色化(あせ)があります。濃色化にはフェノール類、淡色化にはキノン類が関与すると言われています。光変色の速さや色は樹種により異なり、マホガニーなどでは早く、ヒノキ、シナノキでは遅いです。又、白い木が黒ずんだり赤くなったりもします。光変色は外観上好ましくない変化なので、次のような方法により光変化を抑えたり、変色を目立たなくさせます。

①酸化チタンなどの顔料や紫外線吸収剤を添加した塗料の塗布により、紫外線を遮蔽する
②化学反応によって光を吸収する木材成分を吸収しない構造に変える方法
③ポリエチレングリコールの光分解に依る過酸化物で着色成分を分解する方法
④変色する色や材色と同系統色の濃色にあらかじめ着色しておく方法
⑤変色を引き起こす物質を溶剤抽出する方法

(広葉樹)
先がとがり細い葉の針葉樹と、扁平な形の葉の広葉樹。針葉樹と広葉樹は、一般に知られているように葉の形から見分けられます。幹は、針葉樹はまっすぐ伸びているのに対し、広葉樹は太くて曲がっていることが多く、さらに枝分かれしているのが特徴です。 外見の違いだけではなく、針葉樹と広葉樹は細胞と組織の成り立ちも異なっています。針葉樹の組織は単純で、大半の樹種は90%以上が仮道管で占められています。仮道管とは、水を根から樹幹を通して葉へ送る通路のことですが、木そのものを支える役目も担っています。細胞の構成は非常に単純で、配列は整然としています。広葉樹の組織構造は複雑で、細胞の種類が多いだけではなく、細胞ごとの機能も分業・専門化しています。水分の通り道は主に道管が、木を支えるのは主に木部繊維が担っています。

人間の身体に置き換えて、筋肉と血管がひとつになっているのが針葉樹、筋肉と血管がそれぞれ独立して別々の働きをしているのが広葉樹と考えると分かりやすいかも知れません。複雑な構造をもつ広葉樹は、針葉樹に比べ多様な性質を持つことになります。英語で針葉樹をソフトウッド、広葉樹をハードウッドと言うように、針葉樹は軽くて柔らかく、広葉樹は重くて硬いといわれています。これは木が含んでいる空気の量に関係しています。木を構成する細胞と細胞の間には、無数の孔=空気の隙間が空いていて、細胞と空気の隙間の割合を空隙率( クウゲキリツ ) といいます。大半の広葉樹は空隙率が低いため気乾比重が大きく、木は重くなります。逆に針葉樹は空隙率が高くなり、比重も小さく、木は軽くなります。硬さの違いに関しては、空隙率の低い広葉樹は細胞の密度が高いために硬くなり、針葉樹は密度が低いために柔らかくなります。

(木口面)
木の繊維方向に直角に切断した面を木口面、平行に切断した面で中心軸を含む面を柾目面、中心軸を含まない面を板目面と言います。柾目面は繊維が平行に、板目面は木目状になります。

(ゴム状物質)
広葉樹の道管内腔に周囲の柔細胞から出る多糖類。道管の水分を停止させ、気密化します。

(コンディショニング)
人工的に木材を乾燥させるとき、乾燥の最終段階になったら、温度・湿度を調整して2~4%程度高い含水率にすることをいいます。