【 な行 】
ナイフマーク~年輪

(ナイフマーク)
手押しや自動かんなでは回転する刃物が材の表面を削るため、表面が平らにならず小刻みに波を打ったような形になります。ちょっと見ただけではわかりにくいのですが、鉛筆でこするとこの波がよくわかります。特に塗装をすると波がくっきりと現れます。この波のことをナイフマークと言います。より良い塗装仕上げのためには、このナイフマークを研磨により十分取り除いておくことが必要です。

(中塗り)
中塗りは塗膜に肉持ち感を持たせるとともに、上塗りに必要な平滑面を作るために行います。塗膜は厚く塗布し、研磨によって面を得る事が必要であるので、肉持ちが良く研磨作業が容易な塗料組成となっています。反面、塗膜はじん性に乏しく、付着性・透明性も良くないです。透明仕上げの場合はサンディングシーラーを用い、不透明仕上げの場合はサーフェーサーを用います。塗装方法は下塗りの場合に準じて行いますが、塗り面の状態により数回塗布します。ミラースムース仕上げやクローズポア仕上げの場合はこの工程によって仕上がりの良否が決まります。中塗りの研ぎは塗膜が硬化してから240~400番の研磨紙で木目と平行に十分に行います。

(難燃化)
薬剤処理や不燃物の被覆・混合など、物理的化学的処理を組み合わせて木材の燃焼を抑制すること

(南洋材)
東南アジア地域から輸入されていたラワン材など熱帯材の古称。

(2液形ポリウレタン樹脂塗料)
この塗料は略してウレタン塗料と言われますが、塗膜性能が良くニトロセルロースラッカーと同様、目的に応じた多くの塗料が出来る事から、木工用塗料の中では最も多く使用されます。一般にウレタン塗料と言えばこの塗料を言います。2液形であ主剤のポリオールと硬化剤のイソシアネートを混合して用い、可使時間に制限があります。木工用のポリオールにはポリエステルポリオール、アルキドポリオール、アクリルポリオールがあります。ポリエステルポリオールはヤニ止め性に優れていることから下塗り用に、アルキドポリオールは研磨性、肉持ち性・平滑性に優れていることから中塗り・上塗り用に用いられます。又、アクリルポリオールは耐黄変性に優れています。塗膜は強靭で木材との付着が良く、耐水性・耐候性・耐薬品性に優れていることから、家具・内商用・楽器など幅広く使われています。

(ニトロセルロースラッカー)
ニトロセルロースラッカーは別名硝化綿樹脂塗料といい、硝化綿、合成樹脂又は天然加工樹脂、可塑剤および混合溶剤からなります。用途・目的に応じて多種のものがあり、例えば、肉持ちを良くするために不揮発分を多くしたハイソリッドラッカーや塗料を加熱することにより粘度を下げて希釈しないでスプレー塗装が出来るようにしたホットラッカーさらにウッドシーラーやサンディングシーラーなどの下地塗料などがあります。ニトロセルロースラッカーの特徴は、溶剤の揮発により乾燥塗膜を形成する1液形塗料であり、作業性が良く、且つ木材との親和性が大きいことです。

しかし、このラッカー形の性質は乾燥塗膜であっても溶剤により再溶解するので、同一塗装系の塗料によりはけ塗りや目止め剤を磨り込む場合、下塗り塗装を剥がしてしまうことがあります。耐候性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性などの塗膜性能が劣ることから、屋内用には不向きです。アコギ塗装としては高級ギターに今なお多く用いられています。塗装は気象条件に左右されやすく、低温・高温・高湿度で欠陥が生じます。気温℃以下では塗膜の透明感が失われ、30℃以上になると塗料の流転性が悪くなります。又、関係湿度85℃以上でブラッシングが生じます。

このため低湿度には被塗物を事前に温めたり、室内温度を調整する必要があり、高音・高湿時には、乾燥を遅くするためにノンブラッシングシンナーやリターダーシンナーを5~10%程度加えます。肉持ちは良くありませんが、高い透明性と落ち着きがある光沢を持つことから、下塗りや中塗りをポリウレタン樹脂塗料や不飽和ポリエステル樹脂塗料で行い、上塗りにニトロセルロースラッカーで仕上げる場合もあります。磨き仕上げの場合は耐水研磨紙で水研ぎし、ポリッシングコンパウンドで磨いた後ワックスで仕上げます。又、はけ塗りの場合はタンポずりで仕上げる事もあります。

(ぬか目)
環孔材で年輪幅が異常に狭くなっている材で過密になっている年輪のことをいいます。楢(なら)、塩地(しおじ)、針桐(はりぎり)などにみられます。木材全体が春材の部分で占められ、秋材の部分が見られないので、強度が低いです。

(熱拡散率)
温度の伝わり易さを示す熱容量当たりの熱伝導率のことで、物質の温度が変化する速さを表す量でもあります。

(熱可塑性樹脂)
所定温度以上になると軟化や溶解する樹脂で、大部分の固化物は0℃以下でもろくなり、60℃以上では軟化します。耐久性は低いですが異種材料の接着や非熱用途の接着に用いられます。

(熱硬化性樹脂)
熱や触媒により不可逆的に硬化する樹脂で、再び軟化せず高温では分解します。構造用接着剤として有用です。

(熱伝導率)
物質内を熱が伝わる速さを表す量のことです。

(粘性)
力を加えると変形が時間とともに増し、力を取り除いても変形が回復しない性質のことです。

(粘弾性)
弾性と粘性を兼ね備えた性質のこと

(年輪)
寒暖や乾湿などの季節がある地域で生育している樹木木部に刻み込まれる同心円状の構造。成長輪ともいいます。