【 ま行 】
マイクロフィニッシュ~もめ

(マイクロフィニッシュ(塗料浸透仕上げ))
塗料浸透仕上げにはオイルフィニッシュ、ワックスフィニッシュ等の仕上げ法があり、木材内部に塗料を浸透させて表面に塗膜を作らない仕上げであることから、仕上がり外観は素材の良否に直接影響され、チーク・ウォルナット・ローズウッドなどの硬い濃色材で素地の欠点がないものが仕上がりが良いです。素材の肌合いを生かすには最適の仕上げであり、身近で使用する道具などに使われます。針葉樹で早・晩材の差が明瞭な樹種では素材の柔らかさも出ますが、一般に汚れた感じに仕上がります。又、塗膜が形成されていないことから耐水性・耐汚染性に欠けます。オイルフィニッシュには主に油性塗料や乾性油を用いるほか、油変性ポリウレタン樹脂塗料、油変性アミノアルキド樹脂などの合成樹脂塗料も使われます。これらの塗料では木材のしっとりした落ち着きのある仕上げとなります。しかし、長い間には光変色を起こして黄変し白っぽくなり、かさついた感じになるので、再塗装などのメンテナンスが必要となります。

(柾目面)
板の表面の木目が木の年輪に対してほぼ直角に なっている面のことです。一方、年輪に対してほぼ接線をなしているものを板目といいます。一般に柾目板は広幅のものは取りにくいですが、板の両面の収縮差が小さく狂いが少ないです。

(磨き仕上げ)
磨き仕上げはミラースムース仕上げにおける最終工程です。一般にはバフ磨きが多く、磨きの前に塗膜を完全に硬化させることが重要です。硬化した塗膜をカラ研ぎ又は水研ぎにより研磨し、必要に応じてコンパウンドやワックスをバフに付けて磨きます。ラッカー系塗料のニトロセルロースやセラックニスなどは、タンポによる磨き仕上げを行うこともあります。

(水研ぎ)
耐水研磨紙、砥石、研ぎ炭などを用い、水を付けながら研ぐ方法です。この方法は研磨紙へのからみがなく、研ぎおろし効果が大きいです。又、石鹸水を用いると一層からみを防ぐことができます。塗膜が薄いと水で素地を膨潤させ、研ぎおろし効果が大きいだけに塗膜を剥がし易い。ですので塗膜が厚いクローズポア仕上げやミラースムーズ仕上げに適しています。作業中は研磨粉により研ぎ面の状態が見にくいので、乾いたウエスで拭き取りながら実施します。アコギ塗装の際には主にニトロセルロースラッカーやシェラックでの塗装の際に水研ぎをすると良いでしょう。オイルフィニッシュ時では研磨粉が道管内に詰まりやすくなるので、水研ぎではなく、カラ研ぎをお勧めします。

(密度)
一般に単位体積には立法センチメートル (cm3) が使われますが、気体の場合にはリットルを使うことが多いです。単位体積あたりの質量で物質1cm3あたりの質量物質の種類によって決まった値です。密度を調べることによってその物質がなんであるか知ることができます。

(ミラースムース仕上げ)
道管をはじめとする全ての穴を塗料や目止め剤で埋め、平滑な塗面に仕上げるクローズポア仕上げの中で、特に塗膜を磨いたりつや有り塗料を塗布し、鏡のように平らで光沢のある仕上げにしたものをミラースムース仕上げと言います。

(無着色透明仕上げ)
着色せずに種々の透明塗料を塗装して仕上げます。木材に無色の透明塗料を塗ると、もとの木材より濃い色に仕上がります。物が水に濡れ濃くなった時と同じです。木材は塗料で濡れると繊維のすき間に塗料が流れ込み、木材の表面が液体に変わり色が濃く見えます。塗った直後は溶剤分も浸透しているので濃く見えますが、乾くとやや薄くなりますので、最終的なぬれ色は乾燥後に判断します。木材や塗料の種類によっても異なりますが、塗る事によって木材の縞や模様が目立ち、樹種の特徴が明瞭になります。

塗料の選択は薄塗り又は柔らかな感じであって、塗膜性能よりも木質感を求めるなら「ラッカー仕上げ」、やや冷たく感じるが中程度の塗りでしっかりした塗膜を求めるなら「ウレタン仕上げ」、硬くがっちりした塗膜を求めるなら「ポリ仕上げ」が適しています。尚、塗料名で仕上げを表現する場合は、上塗り塗料をさす場合と塗膜層の主たる塗料を指す場合がありますが、これは後者です。

(目止め)
目止めとは木材の導管や繊維の空間を目止め剤と言われるもので埋め、塗面を平滑にするために行なわれることで、上塗り塗料の余分な吸収を防止すること、一定の色彩を与えて木目の美しさを強調することなど、塗膜の鏡面平滑仕上げにとって重要な役割を持っています。目止剤の種類としては、水性目止め・油性目止め・合成樹脂系目止めなとがあります。

目止め作業を行なうには、まず缶内の塗料をよくかき混ぜ、シンナーで薄めて塗付します。目止剤を塗付する前に材面のゴミ・サンダー粉が導管内に残っていないか注意します。刷毛塗りの場合は、導管に押し込むように塗り付けやすい固めの刷毛(馬毛)が適しており、木目と平行に塗付します。塗り終わった溶剤が揮発又は吸収して光沢を失った時期をみて軟らかい布を用い木目と直角の方向、又は回しながら摺り込みます。次に他のボロ布で拭き上げます。隅の部分に残った目止剤は、ブラシや棒で完全に掃除しておきます。

目止め作業は、塗付→刷り込み→拭きあげ→掃除のタイミングが重要です。導管の大きなラワン・ナラ・タモ材などは、1回の目止め作業では目やせのない完全な目止めは困難で、繰り返して行なうとよい結果が得られます。尚、目止めと同時に着色も行なえる着色目止剤もあります。

(目回り)
強風による幹の動揺や幹の不均一な収縮などのために生じる、年輪に反った割れのことを言います。

(杢 (もく))
不規則な生長の結果、木材を構成する細胞配列が不健全になった材面、節や根株の材面に様々な模様が現れます。これを杢と言います。この模様があるために材の価値が上がり、美しい杢の板材は銘木として珍重されます。杢にはミズナラなどの虎斑(とらふ) 、ケヤキやクワなどの玉杢(たまもく)、カエデやカラ松などの鳥目杢 (とりめもく)、トチノキ、カエデなどの縮緬杢 (ちりめんもく)、ラワン類やクスノキなどのリボン杢、ケヤキやヤチダモなどの牡丹杢 (ぼたんもく)、シオジなどの波状杢などがあります。これら杢の美しさを引き出すには、素地を強調した透明感のある薄い塗膜で仕上げるのが有効です。例えば、生漆を素地で浸透させて仕上げる拭き漆仕上げや、透明塗装があげられます。

(木化)
細胞壁の骨格隙間をリグニンで充填し細胞壁を強化すると共に、水漏れのない構造にすることを言います。

(木材着色)
木材の着色は針葉樹と広葉樹で細胞構造と配列が異なり、木目のパターンや素地が粗密であるなど材質が異なるので、着色方法も異なります。針葉樹では早・晩材の着色剤の浸透むらが大きいことから、顔料や塗膜着色で行います。針葉樹の特徴である柔らかな材質感や木目のコントラストを生かすため、濃い着色で仕上げるよりも明るい仕上げのものが多いです。白木仕上げでは、材の白さを強調し、下塗り塗料に顔料を添加したトーナーで薄く着色し、白木の良さ・柔らかさ肌合いを損なわずに仕上げることが多いです。広葉樹は針葉樹に比べ多様な仕上げの種類が選択出来ます。

一般に環孔材は木目が単調なため染料による素地着色を行い、塗膜着色で補色を行います。着色に当たっては、素地のけば立ちをウォッシュコートサンディングなどにより取り除かないと着色むらが起こり、汚い仕上がりとなります。木材には樹種固有の色があり、人工的な希望色に色彩的にしあげるものの他は、材色を同系統の色を基調として明度・彩度を調整して着色します。又、セン・クリ・タモ・キハダなどを、ケヤキの拭き漆仕上げの色に合わせるなどをする場合もあります。

木材は同一樹種であっても材質が均一ではないことから、着色剤の浸透が異なり着色ムラとなります。例えば、ぬか目材をその他の材が混在したものでは、ぬか目材の部分が濃く着色されるので、次のような方法により色むらを軽減させます。

① トナーによる補色で濃色化してゆく
② 素地調整の段階でウッドシ―ラ―を塗布し表面性状を均一化し、着色剤の浸透むらを軽減します。
③ 目止め剤で素地をブロックした後、着色します。
④ 透明な微粒子(硫酸バリウムなど)を素地に付着させた後、着色します。

又、辺材と心材の境界があり色違いのある材への着色は、辺材を心材色に着色(サップステイン)した後、目的の色に全体着色して色違いを目立たなくさせます。

(木材の性質)
<長所>
① 比重が小さい割には強度が大きい
② 加工や接着がしやすく、素材として再生しやすい
③ 熱や電気の伝導率が小さく、保温や吸音性が大きい
<短所>
① 燃えやすく腐朽しやすい。又、害虫に影響されやすい
② 含水率の増減により膨張・収縮する
③ 異方性で不均質

(木質材料)
木材又は繊維状木材を構成要素とし、接着剤などによって結合集成されたもの。

(木繊維)
広葉樹の強度を支え、非常に細長くて厚い細胞壁を持つ繊維状の細胞のことです。単壁孔を持つ真正繊維と有緑壁孔を持つ繊維状仮道管から成ります。

(木部)
幹・枝・根の形成層の細胞分裂により、その内側に生産される組織を言います。木材とほぼ同義語です。

(木本)
地上部が枯れない多年生の植物。草本の対語で樹木とほぼ同義語です。

(木目)
木材を構成する細胞にはいろいろな形があり、その配列もさまざまで方向も異なっています。そのため材面にいろいろな模様が現れこれを木目といいます。木目は交差することがなく、早材と晩材のほどよいコントラストと相まって、木材特有の落ち着いた雰囲気となります。

(もめ)
木材キズの一種で、強風や積雪などで幹が曲げられる時、幹の圧縮側に生じる横方向の割れのことを言います。