貴重なGibson L-0 1930年のリペアに着手しました。乾ききった音色でまだまだ現役で活躍できるギターです。今回のリペアはトップ傷補修、バック傷補修、トップ再塗装、ネック反り補修、指板へこみ補修などです。可能な限り良い状態となるように、いつものことながら慎重に実施します。
貴重なGibson L-0 1930年のリペアに着手しました。乾ききった音色でまだまだ現役で活躍できるギターです。今回のリペアはトップ傷補修、バック傷補修、トップ再塗装、ネック反り補修、指板へこみ補修などです。可能な限り良い状態となるように、いつものことながら慎重に実施します。
まずはフレットワークで、指の引っ掛かりを軽減するため、台形に近いフレットの山を専用やすりを使って丸くしてゆきます。
フレット山の形成が完了しました。台形気味だったフレット形状が丸形になったことにより、より滑らかにフィンガリングが行えるようになるはずです。
続いてトップ板の膨らみを専用治具を使い、出来るだけフラットに矯正してゆきます。
次に、指板にへこみが数か所ありますのでこちらも修理します。
フレットを抜き、指板のへこみ部分に水分を含んだウエスを乗せ、上からからはんだごてで熱して簡易的にスチームを発生させます。この方法ですと蒸気により木が膨らむため、ある程度へこみが改善されます。今回も実施前と比べると少しへこみが浅くなりました。
へこみ部分にパテを盛ります。フレット溝にパテが入り込まないよう、ワックスペーパーを差し込んでおきます。
この状態で丸一日硬化させます。スクレーパーや紙やすりを使って盛り上がった部分を削ってゆきます。
スクレーパーや紙やすりを使って盛り上がった部分を削ってゆきます。
ボディの膨らみ矯正ですが、ある程度改善がみられましたので 治具を外してしばらく様子を見ます。指板のへこみ修正は、パテ埋め後のサンディングが終わりましたので、導管に埋まってしまったパテをビュランという道具を使って掻き出しました。ビュランは本来、版画や彫金などに使われる道具ですが、先端の幅が導管の形状にちょうど良かったため使用しました。(先端幅が0.6mmの物を使用)彫刻刀やデザインナイフよりもこちらの方が使いやすかったです。
ペグの動きが固かったため、ギア部分に固着していたグリスを取り除き、新たにグリスを塗り直しました。
次はネック反り修正です。反りの強いローフレット側に合わせてクランピングします。アイロンを使ってのネック順反り矯正を行っていましたが、改善が見られましたので弦を張って状態を確認しました。
ビビりなどは見られず、良い状態となりましたが、弦高が12Fで1-6弦2.5-3.0mmとやや高いため、サドルの底面を削って調整します。
弦高調整が完了しました。弦高は12Fで1-6弦2.0-2.5mmになりました。
指板へこみ修理、アイロンでのネック反り矯正、弦高調整等を行ってきましたがこれにてすべての作業が完了です。