リペア実績 #0136

Martin D-1

ブレーシング取付け 裏板・側板補修
北海道

北海道で使われていたマーチンD-1ですが、ギターを肩から掛けられて移動中、落とされて大きなダメージを受けました。今回はギター内外部の補修となります。主な補修はブレーシング剥がれ補修、サイド・バックの割れ補修です。

ギター内部を見るとバックに割れが発生しているのとブレーシングが外れてしまっているのが確認できます。バックの割れ部分にはステッカーが張られていましたのでまずはこれを剥がします。ドライヤーで軽く温めて粘着を柔らかくした後、プラスチックのヘラを使って剥がします。最後にレモンオイルで残った粘着をふき取ります。

次にサイド割れの補修を行います。割れによって塗装が浮いていますのでサンディングをして表面を均一にしてから。割れ部分に薄めたタイトボンドを刷り込み、強力マグネットで固定して固着を待ちます。外れたブレーシングは接着面にタイトボンドを塗り、ジャッキアップして接着します。力加減に注意しながら外からもクランピングします。合板のため割れ止めは外側の表面のみでしたが、念のため内側にも付けます。マホガニー材で作成しタイトボンドで接着します。固定には再び強力マグネットを使用します。

次はブレーシング浮きのリペアを行います。数か所ありますので何回かに分けて行います。浮き部分にタイトボンドを流し込み、ジャッキアップして固定します。外側からもクランピングします。力を掛け過ぎるとバックの割れが開いてきてしまいますので、クランプの力加減、位置に注意します。

計10箇所のブレーシング浮き補修を終え、バック割れの補修に移ります。割れ部分に鋸を入れて形を整えます。マホガニー材で埋め木を作成していきます。バックの割れ部分に埋め木を埋め込みましたのではみ出た部分を削り取ってゆきます。裏側も同様に削り取ります。

埋め木のはみ出た部分を削り取ったら、割れの裏側にクリート(補強パッチ)を接着していきます。バック板の木目と直交させるようにして接着します。割れ補修部分のタッチアップに入りました。周りと馴染むよう木目を描き、ウッドシーラーを塗布します。

埋め木をした部分周辺に着色、クリアを吹き付け後、表面の研磨を行いました。艶消し塗装ですので周囲と艶が合うよう調整します。最後に軽くクリーニングをし、弦を張って作業完了です。サイド・バックの割れ、ブレーシングの剥がれ・浮きと重症だったギターですが、問題なく弾ける状態に仕上がりました。

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