リペア実績 #0165

Aria Sandpiper

バック打痕補修 ブレーシング剥がれ補修
岐阜県

サウンドホールが個性的なアリアのクラシックギターですが、今回裏板の割れとブレーシング浮きがあるとのことで、承りました。レスポンスの良いシダ― (杉) 材とヨーロッパの気品が感じられるルックスで人気のギターですが、サウンドホールからの内部作業が出来ませんので、一旦裏板をはがすという作業になります。ギター内部の補修の場合、サウンドホールを使っての作業が当たり前になっていますが、このギターのようにサウンドホールからの作業が出来ない場合、裏板をはがすという非常に手間の掛かる工程を経ざるを得ません。ルックス的には個性的なサウンドホールで好きなのですが、内部補修となると大変なギターと言えます。

まずはブレーシング浮きリペアを行うため一旦裏板を剥がし、欠けなどを補修してしばらく置いておきます。

ちなみにこちらのギター、ファンブレーシング周りのみ、板の表面が浮造りで仕上げてありました。音質向上のためでしょうか。細部に拘りが感じられます。割れ部分にタイトボンドを擦り込んで圧着させたのち、エポキシレジンを塗装欠け部分に盛ります。

このまましばらく置いて乾燥を待ちます。次に浮きの発生しているブレーシングを接着します。ブレーシングの接着が終わったら裏板の接着です。接着剤を塗り、クランプを沢山使用し、がっしりと固定します。

バインディング周りの欠けや段差になっている部分をレジンを充填して埋め、乾燥後スクレーパーやサンドペーパーを使って表面を均します。レジンが硬化しましたら、表面をサンディングして均します。この後塗装を行うため鏡面にはせず、裏板全体に足付けをしておきます。裏板全面にラッカークリアを吹き付けました。このまましばらく置いて乾燥を待ちます。裏板の磨き作業を行います。水研磨後、バフで磨いて鏡面に仕上げます。バックのバフ掛けに続いてサイドも同様にバフ掛けします。最後に全体的にクリーニングを行って完了です。

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