リペア実績 #0240

Vrai 020FTG

ネックリセット ナット・サドル交換 ネックアイロン補正
富山県

Vrai工房の020FTGというモデルをお預かりしております。ボディはドレッドノートサイズでへリーンボーン柄がボディの周囲に付いています。ヘッドはフラワー模様があり全体的にビンテージ感があふれています。今回はネックリセット、ナット・サドル交換、ネックアイロン補正を承りました。

まずはネックの調整から行います。順反りの症状が出ていますが、トラスロッドのないモデルですのでアイロンを使用して矯正します。症状を見つつ何回かに分けて矯正を行います。

続いてネックリセット作業に伴い、ネックをボディから取り外します。指板をボディから剥がし、15F溝に開けた穴にヒートスティックを差し込んで熱で加え、接着剤を緩めてネックを外します。ジョイントの精度が高く、やや時間が掛かりましたが無事外すことができました。古い接着剤を除去して接着面をきれいにしておきます。そして、7フレットのポジションマークが欠品しておりますので、アバロン貝の板材からポジションマークを作製して埋め込みます。

ネックリセットは計算した値に基づいて適正な角度となるよう、ボディとの接地面を削ってネックの仕込み角度を調整します。仕込み角度の調整によりホゾの効きが緩くなっていますので、マホガニーの薄板を接着して密着度を調整します。

シムの接着後、表面をやすりで僅かに削ってジョイントがピッタリに合うよう調整します。そして次はネック調整です。ローフレット側に順反りの症状が見られますので、ネックアイロンにて再度調整を行います。仕込み角度やホゾの調整をしたのち、ネックの接着します。様々な方向からクランプを掛けて固定し、数日置いて接着剤の乾燥を待ちます。

続いてナットの交換を行います。元のナットを外し、ナットスロットのクリーニングを行います。牛骨材で新しく作製して完了です。ナットに続いてサドルも牛骨材で交換致します。サドル山を各弦のオクターブピッチが合うよう削り出します。

弦高は12フレットで6弦2.5mm、1弦2.0mmに調整します。ネックリセットの際に外していた15フレットを打ち込みます。ネックリセットやアイロン矯正によりフレットの高さにバラつきが発生していますので、全体的にすり合わせをして整えます。最後に全体的にクリーニングを行い、弦を張って全ての作業が完了です。今回ネックリセットにより、弦高を下げつつサドルの高さを上げることができたためボディ鳴りが大きく向上しました。

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