異方性 ~木工の基礎

木口面、板目面、柾目面それぞれの面 ( 方向 ) の性質が異なることで、細胞の配列や形態、細胞壁の構造が方向によって異なるため、木材の性質の多くは3主軸方向や主軸がつくる3断面で異なります。木材は近似的に直交異方体とみなされます。 

隣接する細胞間の共通部分を細胞間層、その内側の層を一次壁、その内側の層を二次壁をいいます。二次壁は細胞の外側より外層、中層、内層と呼ぶ三層より成ります。これらの層の内、二次壁中層は細胞壁の大半を占め、木材の物理的性質に極めて大きな影響を及ぼします。二次壁中層は鉄筋コンクリートに似た構造を持ちます。鉄筋にあたるのはセルロースという直鎖状の結晶した高分子の束 ( ミクロフィブリル ) で、これが細胞の長軸方向から少し傾いて無数に配列しています。この角度をミクロフィブリル傾角と呼びます。鉄筋と鉄筋の間はコンクリートに当たる無定形の橋かけのある高分子のリグニンで充填されています。又、鉄筋とコンクリートをなじみよくするために非結晶性の鎖状高分子であるへミセルロースが鉄筋の表面に沈着しています。へミセルロースとリグニンを合わせてマトリックスと呼びます。二次壁ではミクロフィブリルとマトリックスの占める割合は、同程度です。外層や内層では横方向に走向しています。細胞間層や一次壁ではマトリックスの占める割合が大きいです。

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